各界にコンビは数いれど、公私かかわらず常に行動を共にするのはこの2人しかいないだろう。落語界いや芸能界、ひいては夫婦界で抜群のコンビネーションを発揮し続けている林家ペー・パー子に、コンビ愛の真髄を聞いた。
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──おふたりはコンビになって何年目ですか?
ペー そもそも僕らはコンビじゃないんですよ。僕が林家一門に入門して、故・三平師匠の弟子になった時、下っ端のペーペーだからという理由で「ペー平」と命名されて、そのうち「ペー」になって。彼女は数年後に、海老名香葉子さんにスカウトされて入ってくるんだけど。
パー子 一目で気に入られちゃってねえ。
ペー 芸能界といえばスカウトでしょ、原宿や渋谷で。パー子は鶯谷でスカウトされたの。こんな美人で鶯谷でスカウトって、芸能界で他にはいないよ。
パー子 きゃっはは~!
ペー 当時もこんなふうによく笑う明るい女性だからって理由で、「パー子」って名付けられたんです。
パー子 私、シャイなもので、その裏返しで笑っちゃうんです。あっははは!
ペー 林家一門に、「平」が付かないのは僕と彼女だけ。名前の響きも似ていて、偶然そんな2人が結婚しただけなんです。
パー子 本当に不思議な運命。縁があったんですね。
ペー 僕らはいつもピンクの服を着ているけど、2人で着るとインパクト倍増で仕事が来やすいしね。「ピンク、ペー、パー」で、「3P」です。
パー子 きゃっはっははは~!!
ペー ほら、一緒に仕事すると、僕が何やっても笑ってくれるんですよね、阿吽の呼吸で。
──出会った当初から息ピッタリだったんですか?
ペー いや、彼女がお母さん子でね、お母さんの言うことしか信用しないんだよ。そんなお母さんが僕の姿をテレビで見て‥‥。
パー子 「うちに遊びに来てもらえ」って。
ペー それで遊びに行くようになって、居心地がよくてね。それから自然と結婚までいって。夫婦って感じじゃないよね、ずっと友達みたい。
──ケンカはしないんですか?
ペー 03年頃、「週刊文春」に「関係者が語る離婚危機」って出た時はびっくりしたよ。よく口ゲンカしているからかな?
パー子 離婚なんてありえないわよー。つまりコミュニケーションが絶えないってことよね。
ペー ケンカできなくなったら人生寂しいよね。ケンカできるのが夫婦でしょう。それに、“違うから合う”んですよ。彼女は江戸の美人なお嬢さん、僕は大阪出身のなにわの男。
パー子 私はメンクイじゃないんですよ。男の人は中身、才能。きゃっは!
──外見も内面も相性抜群なんですね!
ペー そうは言いながら半分複雑なの。1人で歩いていると必ず、「パー子さんは?」と聞かれる。この前イトーヨーカドーに行ったら、高校生が僕に向かって「あ、パー子だ」って。ショックだと思わない? でも彼女があってこその僕、僕があってこその彼女。2人があってこそ、仕事が来る。ピンで仕事しても家賃が払えるくらいだけど、2人だと億単位になるからね。
パー子 きゃは~! いやだぁ~!
──2人の仲が長続きする秘訣は何でしょう?
ペー 僕が、彼女をバカにしているようですごく尊敬してるの。芸をやるじゃない、そのあとダメ出しの嵐。殴る蹴るの。
パー子 きゃー! メンタル面を、ね。だってそうしないと向上しないじゃない。
ペー お互いを尊敬し合って、共存共栄していく。これに尽きるね。