路線変更について、高市(早苗)さんなんかの、不満分子は自民党内で抑え込みました。
ところが、「本音を言えるのは俺たちだ」という思いがあったのか知りませんが、橋下さんに飛び火したのです。一連の発言だけじゃなく、大阪市役所で不祥事を起こした者がいたら性風俗を勧めるんだと、活用すればいいじゃないか、というようなことをおっしゃった。
地方公共団体とか政党の代表が、組織として「性風俗を活用したらいいじゃないか」って、これはいくらなんでも常識外れですよね。例えば、会社の社長が不祥事防止のために性風俗を活用するって発言すれば、その会社は相当、信用を失墜すると思うんですね。こういうのは組織としてやるべき話ではないのであって、それぞれ個人の判断でひそかに行くか行かないか決めるのが、この世界の話ですよ。もちろん、維新側に撤回してくださいと、申し入れをしましたが、撤回しますとは言ってこなかった。
政策の根底には基本的な価値観が共有されていないといけません。いくら口先で政策が同じだと言ってもなかなか難しいものがあります。このまま行ったら、「みんなの党」が極右集団に間違えられかねない、そんな危うさを感じたのです。
今回の決裂の引き金になったのは、橋下氏の発言だが、これは国益の問題も関わってくるのだと、渡辺氏は主張する。
石原さんは反米で日米安保にも疑問を抱いています。一方、北朝鮮の核ミサイル問題、尖閣の緊張ということが現実に起こっています。ここで、日米同盟をないがしろにしていいのかと思いますね。自由、人権、民主主義などについての基本的な認識、価値観が共有されていなければ、同盟という関係にはならないわけですよ。そういう点では、一連の発言や維新の体質は、国益を損ないかねない非常な危うさがあると、感じましたね。
渡辺氏は前回衆院選時に、維新とみんなの票の潰し合いを懸念し、「自民党が利を得るだけだ」と本誌直撃に答えていた。橋下氏に絶縁状を叩きつけながら参院選を戦うことはできるのだろうか。
選挙に対する影響はあると思います。維新が我々の候補のいる選挙区に、対抗馬を立ててくることは容易に考えられます。そういう時は潔く受けて立つしかありません。間違いなく我々は不利になります。