●ゲスト:神奈月(かんなづき) 1965年、岐阜県生まれ。高校卒業後に芸人を目指して上京、池袋のショーパブでものまねのアルバイトを始める。並行してお笑いライブで腕を磨きつつ、87年、デビュー。95年から「ものまねバトル」(日本テレビ系)に出演し、徐々に知名度を上げていく。中でも萩原流行や武藤敬司、馳浩など、他の誰もがやらないようなマニアックなものまねで評価され、今やものまね番組に欠かせない存在に。現在、12月28・29日に東京・新宿FACEで開催される「神奈月祭2019」の前売りチケットが発売中。
武藤敬司、石原良純、原辰徳監督ほか、有名人からマニアックな個性派まで強烈なキャラクターを笑いに変換するものまね芸人・神奈月。天才テリーのムチャ振りにおびえながらも、ものまねのポリシーから芸歴の始まりと苦悩、そしてものまね界の今後までを熱く語り尽くした!
テリー いきなりだけど神奈月さん、俺のものまねはできるの?
神奈月 ええっ!? できなくはないと思いますが、ホリくんがもうやっていますからね。あと、僕のレパートリーはわりと四角い顔の人に寄っているんです。
テリー ふーん、仲間内でそんな区分けがあるんだ。
神奈月 明確に分けてはいませんけれど、顔の形を見ただけで「この人、原口(あきまさ)くんがやりそうだな」みたいに、なんとなくわかるんです。「ラグビー日本代表のスクラム選手はガッチリしているから僕のテリトリーだな」とか。
テリー そういうものまねのネタって、やっぱり毎日探しているんですか。
神奈月 いや、そこまで真剣でもなくて(笑)。テレビを見るのが基本的に好きなので、そこでおもしろいキャラクターを持つ方を見つけたら「この人、できるかな?」と初めて考えるという感じで。あと、僕は野球やプロレスが好きなので、試合を見ていると「あの選手、こういう動きの特徴があるな」なんて感じで、自然にネタが入ってくるんです。
テリー スポーツ選手って入れ代わりもあるから、大変じゃないですか? 例えば武藤敬司さん、もう神奈月さんの十八番ネタですけれど、ファンが世代交代していくとリアルの武藤さんを知らない人も増えていくと思うんですよ。そのギャップは、どう埋めていこうとか考えていますか。
神奈月 僕がテレビで武藤さんをやりだした頃、特に女性のお客さんはプロレスを知らないから、シーンとしていましたね(笑)。でも僕の中では「メジャーな人」なので、ウケなくてもとにかく「わかってもらおう」と5年くらいのスパンで粘り強く続けていって、そのうちに世間に浸透していった感じです。
テリー ワハハハ、それ、もはや布教活動だね。
神奈月 あと周りがおもしろがっていたら、「なんで自分はこの人を知らないんだろう」と逆に気になって、あとでYouTubeなどで調べてくれますから。
テリー なるほど。じゃあものまねの楽しみ方もずいぶん変わってきたんだね。昔はとにかく、誰でも知っている有名な人ばかり取り上げていたけれど‥‥。
神奈月 昔だと、知らないものまねだったら「わからない、つまんない」の一点張りで、ものまね番組での点数も低かったんですが、そこが変わってきましたね。ネットで過去から現在までの情報に触れられるので、かなりマニアックなネタでも、みんなおもしろがってくれるんです。
テリー じゃあ極端な話、ケーシー高峰さんや由利徹さんのものまねでも大丈夫?
神奈月 はい、若い人がそれを見て興味を持ってもらえれば。今の笑いでは味わえない、「間」も含めておもしろい方たちなので、逆に若い人には新鮮に見えるかもしれないですね。