いつしかオンナの肌は、年齢とともに水滴も男も吸い尽くすようになった。完熟美女こそが、湯めぐり情欲の頂点なのである。
今は亡き川島なお美(享年54)は、ドラマ版の「失楽園」(97年、日本テレビ系)で大役を射止めたあと、「脱げる女優」として映画でも大車輪の活躍をする。初ヒロイン作となった谷崎潤一郎原作の「鍵 THE KEY」(97年、東映)で妖しい華を咲かせた。
ひのきの浴室につかっていた川島は、湯あたりしてその場に倒れてしまう。年の離れた夫(柄本明)は、そのまま川島を抱きかかえて寝室へ。
巻いていたタオルを剥がすと、そこには女盛りの美しい体があった。たまらず柄本は、川島の体にむしゃぶりつき、4分もの長い情欲シーンをこなすことに。当時の日本映画には珍しく、ヘアが拝めたことも話題になった。
萩原健一主演の「瀬降り物語」(85年、東映)では、当時40歳の藤田弓子(74)が、初めて本格的なベッドシーンに挑んだ。物語は「サンカ」と呼ばれる漂泊の一族をテーマにしたもので、藤田は若い娘を持つ未亡人の役を演じた。
やがて藤田は、一族の掟に逆らい、リーダー格の萩原と関係を持つ。大自然の中で萩原に立ったままバックから貫かれ、豊満なバストをみずから揉みしだいて嬌声を上げる。
コトが終わったあと「石湯」と呼ばれる原始的な風呂で汗を流す藤田。まだ快感が残る体の余韻を、熱い湯がいつまでも保ってくれる表情が悩ましかった。
かつて「にっかつ映画」に旋風を巻き起こした美保純(59)が、実に30年ぶりのカラミを見せて健在ぶりを示したのが「捨てがたき人々」(14年、アークエンタテインメント)だ。出世作「ピンクのカーテン」(82年、日活)と同じジョージ秋山の原作で、長崎・五島列島を舞台に、男と女の包み隠さない欲望が描かれる。
美保が関係を持つのは、実の妹(三輪ひとみ)の夫である狸穴勇介(大森南朋)で、乱暴されるのと同然に強引に抱かれながら、秘めた関係は10年以上にわたって続いていた。
「おばちゃん、いくつになった? いつまでも肌が若いねえ」
狭いバスタブに義弟と一緒に入り、背後からバストを揉みしだかれて、水面が波打っている。バストトップこそ見えないが、上気した肌はピンク色をキープし、大森のセリフに納得させられる。次にベッド場面カムバックがあれば、いまだ衰えぬフル脱ぎを見せていただきたいものだ。
最後は、水野美紀(45)が大胆にヘアまで見せた「恋の罪」(11年、日活)を。水野は夫も子供もいる女刑事の役だが、夫の後輩である年下の不貞相手に呼び出されると、家族団らんの時間であってもホテルへと向かってしまう。
ホテルの浴室で、若い男にバックから激しく責められている水野。出世作「踊る大捜査線」(フジテレビ系)でも女刑事を演じたが、そのキャラクターはまるで別物である。浴室でバックでの交わりを受けながら携帯をオンにすると、水野をさらに闇へと迎え入れる事件が待っていた──。
三十代半ばの水野の覚悟が伝わる熱演であった。