4月10日、小池百合子東京都知事が会見を行い、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐため、休業要請を行い、同時に対象となる業種を発表した。
「3密」を避けるという意味から、バーやカラオケ、ボウリング場やゲームセンターなどが休業の対象になっている。これらに加えて、「のぞき劇場」や、ここではそのままの表現を避けるが、女性が衣服をつけず肌を見せた状態を示す横文字と「スタジオ」という言葉をくっつけた「(横文字)スタジオ」(以下“スタジオ”)という言葉が挙げられていた。これにネットやSNSが騒然となっている。
若い世代からは「夜のお店ってことはわかるけど、いったい何なの?」、年配の人からは「懐かしい。でももう都内にないでしょ」という声が上がっている。
「『のぞき劇場』はおそらく一般的に『のぞき部屋』と言われていたお店のことでしょう。81年ごろに登場しました。女性がいる半畳ほどのスペースをマジックミラーが取り囲んでいて、ミラーの外側から男性が中をのぞくんです。女性は服を身に着けておらず、自分で慰める行為をします。女性から客の男性は見えません」(週刊誌記者)
スタートした直後はただのぞくだけだったが、同様のお店が多数オープンするとサービスはより過激に。男性が穴からお金を差し出すと、目の前に来てくれドアップでボディを拝見することができるお店や、小窓から男性のシンボルを差し入れるとマッサージをしてくれる店舗もあった。全盛期には都内だけでも100店以上が存在したというから驚きだ。
「“スタジオ”のほうは、マッパの女性を撮影するお店のことだと思われます。こう聞くと、今もあるグラビア撮影用のフォトスタジオを思い浮かべる人もいるかもしれませんが、まったく違います。“スタジオ”は、性的な表現が厳しく抑圧された1940年代後半から50年代ごろに誕生したとされ、芸術的に女性のマッパ姿を撮影するという名目で、女性の一糸まとわぬ姿を見ることができるお店でした。女性やカメラはお店が用意しているので、客の男性は手ぶらで行けばよかった。要は芸術を隠れミノにして客にマッパを見せていたわけです」(前出・週刊誌記者)
当時、名画の一場面を額縁の中でマッパの女性が演じ、芸術的なものだとして摘発から逃れた「額縁ショー」が大変な評判になったが、これと同じような考え方のサービスと言えるだろう。ただ、額縁ショーほどメジャーにはならなかったようだ。
その後、当局の規制が緩和され、踊り子がステージの上でダンスを踊りながら衣服を脱いでいくショーが人気になると、“スタジオ”や額縁ショーは姿を消した。
「戦後復興期に登場した“スタジオ”が令和になって俎上に載せられるとは何とも不思議なものです。おそらく、休業要請リストを都の関係者が作るにあたり、昔の資料を元にしたのではないでしょうか。もうなくなった業種は削除するはずだったのが、“スタジオ”を今のフォトスタジオと勘違いし、残してしまったのではないでしょうか。ちなみにのぞき部屋は今もまだあります」(前出・週刊誌記者)
新型コロナウイルスのせいで昭和の懐かしい性的サービスが人々の注目を集めるとは、誰も予想していなかったに違いない。