だが、14年2月に舛添要一氏(67)が都知事に就任すると、雲行きが一変する。
「カジノ反対論者でIRにはまったく興味を持っていなかった舛添氏は、有力な候補地だったお台場の都有地を、外資系の会社に7年間の契約で貸与した。これでその土地は7年間使えないことになり、お台場カジノ構想は頓挫したのです」(ジャーナリスト)
その代案として浮上したのが、みなとみらいを候補地とする「横浜カジノ」。そんな中、企業の動きも活発化していた。
今年4月、大手パチンコ・パチスロ機器メーカーの「セガサミーホールディングス」と「ユニバーサルエンターテインメント(旧アルゼ)」が手を組み、合弁会社「ジーグ」を設立。220名を超える超党派の議員が参加する、いわゆる「カジノ議連」(国際観光産業振興議員連盟=IR議連)に対し、カジノ参入を熱望して、水面下で接触していた。
「両社は以前から訴訟合戦を繰り返すなど、業界では犬猿の仲で知られていました。その間を取り持ち、手打ちさせたのが、菅義偉官房長官(67)。パチンコ業界が下火ということもあり、両社が手を組んでカジノ議連のメンバーにカジノ建設の陳情をしているそうです」(前出・ジャーナリスト)
ちなみにセガサミー・里見治会長の娘・有紀恵さんと経済産業省官僚だった鈴木隼人氏(現在は自民党衆院議員)の、13年9月の結婚式には、菅氏のほか、安倍総理らカジノ議連の議員が大挙して出席。さらには、
「里見会長は小池氏の有力な支援者として知られ、先の都知事選でも物心両面で応援していたようです」(全国紙政治部デスク)
その小池氏も自民党国会議員時代からカジノ議連に名を連ねており、8月9日に放送されたNHKのインタビューでは、
「東京オリンピック・パラリンピックがあるが、恒常的に海外からのお客様を増やすべきだ。東京にさらに魅力をつけるため、(カジノが)あってもいいと思う」
と発言したのである。
そんなやさき、ほぼ完成している豊洲新市場の施設に、相次いで「不具合」が明るみに出た。
「1区間当たりの作業スペースが狭くて、マグロをさばくのが難しい。排水溝も非常に浅く、氷水を流すとあふれる、あるいは詰まると思います」(市場関係者)
トドメを刺したのは、「仲卸売場棟」で床の損傷を防ぐために敷設されるコンクリートがわずか1センチという薄さであることが発覚したこと。市場サイドは、15センチのコンクリートを敷設することを示唆したが、その総重量は約1300トン。建物全体の重さが増加することで建築基準法に触れる「違法建築の疑い」が指摘されているのだ。