運命の22日に向けて衆院選はいよいよ終盤戦に突入した。「安倍一強」のリセットを掲げて大躍進が期待された希望の党だが、失速ムードは否めない。小池百合子代表の出馬見送り、急ごしらえの公約、駆け込み候補者たちのトホホ素顔‥‥。“失望”にまみれた「泥縄ハリボテ」新党の実態が明らかに──。
「今回の総選挙で8%の消費税を10%に上げる、その使いみちを変えていくと言っていたけど、そんな『ショボい』話では、日本は間に合わないんですよ!」
衆院選が公示された10月10日、希望の党の小池百合子代表(65)=東京都知事=が「第一声」の場所に選んだのは、衆議院議員時代の地盤で知られるJR池袋駅(東京都豊島区)。集まった聴衆の前で声高に安倍批判を繰り返した。が、7月の都議選で“旋風”を起こした時とは明らかな変化が見られている。希望の党関係者はこう話す。
「以前なら、都内で街頭演説をすれば聴衆で埋め尽くされたのに、今回は素通りする人や背中を向けている人が目立ちます。特に支持層である主婦の集まりが悪く、熱気が消えてしまったようで‥‥」
「安倍一強政治」を変えることを旗印に掲げ、政権批判票の受け皿になるため、9月25日に立ち上げた希望の党。すぐさま最大野党の民進党を飲み込んで勢力を拡大したまでは想定内だったが、小池氏の不用意な発言で風向きはガラリと変わる。同29日の会見で、民進党のリベラル派に対し、言下に、
「排除いたします」
この宣言に怒り心頭に発した枝野幸男氏(53)は立憲民主党を結成。衆院選は3極が争う構図になり、「希望の党はイメージ悪化で失速している」(前出・希望の党関係者)状況に陥ってしまったのだ。
NHKが10月10日に発表した支持率の世論調査では、自民党の31.2%に対して希望の党は4.8%と窮地に追い込まれていた。それでも小池氏は強気な姿勢を崩さない。
「11日に盛岡や仙台など東北を中心に遊説したあと、都内の選対本部で、世論調査で苦戦していることを質問されると、『始まったばかりだから、こんなものはアテにならない。最初からイケイケよりいいでしょ』と笑顔を見せていました」(政治部記者)
劣勢を招いたのはやはり準備不足だろう。第1次公認をした原口一博元総務相(58)が公認辞退して無所属で出馬するなど、公認候補者擁立に苦戦。結局、集められたのは過半数を2人上回る235人までだった。比例代表の名簿発表では、順位を含めて公示当日にずれ込むドタバタぶり。前出の希望の党関係者は声を潜めてこう話す。
「早い段階で名簿順位を知らせると、順位が低い候補者から出馬辞退が起きるのを恐れていた」
衆院選に向けて、大阪府の松井一郎知事(53)、愛知県の大村秀章知事(57)と共通政策をまとめ、「三都物語」としてスクラムを組んだまではよかったが、
「特定の政党の応援は控える」
大村氏がこう発言したことで、わずか11日間で崩壊。ここでもまた、希望の党は大きな後ろ盾を失ってしまったのだ。