9月28日の衆議院解散が現実化する中、急ごしらえで結成を目指す「小池新党」。現在のところ、若狭勝氏に、民進党を離脱した“モナ男”こと細野豪志氏が中心となっているが、いささか迫力不足との声がもっぱらだ。そこで追い風の安倍晋三総理に対抗すべく小池百合子都知事が「百合子の兵法」を授け逆襲を画策。自民党潰しの秘策とは。
「安倍晋三総理(63)は、北朝鮮問題の不安が高まる中で防衛問題を争点にすれば必ず勝てるという確信を持っている。先日の国連演説でトランプ大統領とともに『北への圧力』を強く主張したことが選挙でも追い風になると見ているのです。さらに、今なら小池百合子都知事(65)も国政進出の準備が整わない。選挙をするには絶妙のタイミングなんですよ」
こう話すのは、官邸詰め記者。現在、臨時国会が始まる9月28日の解散が有力視されている衆議院。安倍総理が仕掛けた、間隙を縫っての“奇襲解散情報”を皮切りに、水面下では早くも壮絶な情報戦が繰り広げられている。
政治部記者が明かす。
「若狭勝氏(60)の主導で小池新党の調整が進められる中、9月20日前後に、突如として『小池都知事自身が衆院選に出馬するのでは』との話が出てきましたが、あれは都知事の動きを封じようとする与党サイドからのリークだと言われています。選挙があるかどうかもわからない段階でいきなり出馬説が流れたら、小池氏に『都政放棄』のイメージが付くのは必至です。有権者の反発をあおる方法で、与党サイドが先手を打ったんです」
ズルズルと離党者が相次ぐ民進党は、共産党などとの4党選挙協力に活路を見いだすほどの“死に体状態”。そうした中で、唯一、安倍自民がその動向に注目しているのが、小池氏なのだ。永田町関係者によれば、「自民としては『“小池党首”さえ実現しなければ若狭氏が作る新党は恐るるに足らず』と認識している一方で、小池氏が新党を率いる形になった場合、都議選に続いて苦汁をなめさせられるのではないかという強い危機感があるんです」
現在、「小池新党」は10月10日の公示と同22日の投開票が見込まれるだけに急ピッチで、結成と来るべき選挙への準備に奔走中。全国で100人規模の擁立を目指して調整しているというが、民進党の“切り崩し”にもなみなみならぬ意欲を見せているという。前出・政治部記者が続ける。
「若狭氏が『民進党は衰退の一途をたどる』と手厳しく語っているのは、民進党の議員に向けた『小池氏と組めば自民に勝てる』という離党を促すメッセージにほかならない。8月半ばに行われた細野豪志氏(46)との新党結成に向けた会談でも、政治経験の浅い若狭氏自身が政界再編のキーマンになったことを例にあげ、『“小池百合子ブランド”の強さ』をとくとくと語ったようです。いわば小池氏が都政に専念している間でも『百合子の兵法』で、一気呵成に自民に逆襲しようという作戦です」
まさに、9月16日に開講した政治塾「輝照塾」は、その「兵法」の一つ。立ち上げ時に若狭氏は「衆院選の候補者を選別する」としていたが、候補者選定以外の目的もある。結党直後のため政党助成金が交付されない「小池新党」にとって重要な資金源になりそうなのだ。
「初日の講義では小池氏が登壇したのですが、この政治塾に入った塾生の多くが小池氏の『希望の塾』との掛け持ちです。小池塾の受講者の中には、公認を取れる資金も能力もあるのに“国政狙い”のため、あえて都議選に出馬しなかった人材が多くいる。そういった人材の掘り起こしを“別働隊”として担ぎ出すのは間違いありません」(前出・政治部記者)
つまり資金力のある候補者に白羽の矢を立て、100人規模の擁立によって、選挙資金をやりくりしようとしているのだ。