芸能

半沢“部長”の「新・倍返しの相手」

20131010q_2

「東京中央銀行」から「東京セントラル証券」へと出向させられた半沢。営業企画部長となり、役職こそ次長から1階級上がった形だが、セントラル証券は本体メガバンクとは規模も業績も比較にならない系列子会社であった。半沢を待ち受けていたのは、銀行からの出向組ばかりが重用され、力のある生え抜き社員は、すっかりやる気を失っているという最悪の環境‥‥。

 物語は、そのセントラル証券に新興IT企業「電脳雑伎集団」社長夫妻から、別のIT企業「東京スパイラル」を買収するプランを持ち込まれたところから始まる。その大任を請け負った半沢は、ライバル企業の株を強引に買い進めるという敵対的買収だけに、慎重に事を進める。

 ところが、部下の不手際から突如「電脳──」から契約を解除されてしまう。しかも、半沢チームに代わって買収のアドバイザリー契約を結んだのは東京中央銀行の証券営業部。つまり、半沢は古巣に契約を横取りされてしまうのだ。

 その直後、銀行側は市場外取引という奇襲策で「スパイラル」の3割の株を取得、さらに株式公開買い付けを発表し、およそ2カ月間で残りの2割の株を買い集めて、過半数株を取得する作戦に出る。

 IT企業の買収劇、ホワイトナイト(敵対しない協力的な企業)の登場、IT業界の風雲児‥‥。一連のライブドア騒動を連想させる目まぐるしい展開の中で、もちろんやられっぱなしの半沢ではなかった。銀行の強引なやり方に反発を覚えた半沢は、買収の危機にある「スパイラル」と買収防御の契約を結ぶ。ついには「やられたらやり返す、倍返しだ!」と、企業買収劇を巡り古巣と相まみえることになるのだ。

 親会社に対する謀反とも言える対抗策に半沢を問題視する銀行幹部は、半沢を人事部付の閑職に追い込もうとするも失敗。他にも銀行本体とは縁遠い中堅企業の財務部長へ島流しを画策するなど、薄汚れた陰謀を次々と企てる。

 これに対し、半沢はドラマでも登場した同期の渡真利、元上司の内藤ら旧知の力を借りながら、包囲網をかいくぐる。

 そして、ついに買収劇の黒幕が銀行中枢部にいることを突き止める。さらに、銀行側の買収の枠組みには重大な欠陥があることを見抜くのだ。

 クライマックスでは、再びあの取締役会議に乗り込み、最後の黒幕と対峙する。はたして、古巣との戦いを半沢は1人で戦い切り、再び銀行へ戻ることができるのか──。

 ここまでが、池井戸潤氏の小説「ロスジェネの逆襲」(ダイヤモンド社刊)のお話である。ドラマ「半沢直樹」は、池井戸氏の原作小説「オレたちバブル入行組」「オレたち花のバブル組」(いずれも文藝春秋刊)が下敷きとなっている。その小説「半沢シリーズ」第3弾となるのが「ロスジェネの逆襲」であり、ドラマの続編の原作となるものと期待されている。タイトルの「ロスジェネ」(ロストジェネレーション)とは、就職氷河期に入社した若い世代を指す。売り手市場のバラ色の就職戦線だったバブル入行組の半沢とは反目する若い世代とのギャップをどう解消するのかにも注目だ。

 さらに、現在は「週刊ダイヤモンド」で「半沢シリーズ」第4弾の「銀翼のイカロス」が連載中だ。舞台は業績悪化で破綻が懸念される「帝国航空」へと移り、半沢は頭取命令で巨額の赤字を抱えている航空会社の再建を担当することになる。半沢がバンカーとしての威信をかけて戦う相手は元女性キャスターの国交相であり、こちらも続編の原作になる可能性はある。ドラマ続編が、映画なのかドラマなのかも、今のところ未定だが、目の前に続々と立ちはだかる巨悪をなで斬り退治した果てには、「頭取・半沢直樹」になるまで物語は続くことになりそうだ。

カテゴリー: 芸能   タグ: , , ,   この投稿のパーマリンク

SPECIAL

アサ芸チョイス:

    デキる既婚者は使ってる「Cuddle(カドル)-既婚者専用マッチングアプリ」で異性の相談相手をつくるワザ

    Sponsored

    30〜40代、既婚。会社でも肩書が付き、責任のある仕事を担うようになった。周囲からは「落ち着いた」なんて言われる年頃だが、順調に見える既婚者ほど、仕事のプレッシャーや人間関係のストレスを感じながら、発散の場がないまま毎日を過ごしてはいないだ…

    カテゴリー: 特集|タグ: , |

    これから人気急上昇する旅行先は「カンボジア・シェムリアップ」コスパ抜群の現地事情

    2025年の旅行者の動向を予測した「トラベルトレンドレポート2025」を、世界の航空券やホテルなどを比較検索するスカイスキャナージャパン(東京都港区)が発表した。同社が保有する膨大な検索データと、日本人1000人を含む世界2万人を対象にした…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , |

    コレクター急増で価格高騰「セ・パ12球団プロ野球トミカ」は「つば九郎」が希少だった

    大谷翔平が「40-40」の偉業を達成してから、しばらくが経ちました。メジャーリーグで1シーズン中に40本塁打、40盗塁を達成したのは史上5人目の快挙とのこと、特に野球に詳しくない私のような人間でも、凄いことだというのはわかります。ところで、…

    カテゴリー: エンタメ|タグ: , , |

注目キーワード

人気記事

1
長与千種がカミングアウト「恋愛禁止」を破ったクラッシュ・ギャルズ時代「夜のリング外試合」の相手
2
日本と同じ「ずんぐり体型」アルプス山脈地帯に潜む「ヨーロッパ版ツチノコ」は猛毒を吐く
3
沖縄・那覇「夜の観光産業」に「深刻異変」せんべろ居酒屋に駆逐されたホステスの嘆き
4
段ボール箱に「Ohtani」…メジャーリーグMVP発表前に「疑惑の写真」流出の「ダメだ、こりゃ!」
5
巨人が手ぐすね引いて待つ阪神FA大山悠輔が「ファン感謝デー」に登場する「強心臓」