ドラマの大ヒットを受けて、主演級の俳優たちの人気が急上昇するのは、当然の成り行きだ。しかし、「半沢直樹」が異色とも言えるのは、イメージを損ないかねない役柄を演じた俳優まで大ブレイクを果たしたことだろう。合言葉よろしく「倍返しだ」とばかりに、成り上がった脇役陣をランキングする!
あるTBS関係者が言う。
「今回の『半沢直樹』では、制作費の大半が堺雅人(39)、北大路欣也(70)、香川照之(47)の3人のギャラに費やされました。そのため、他の役柄の俳優は応募形式で集めたのです」
もちろん、一般公募ではなく、局内のドラマ制作部の壁に貼り紙をするという方式だったという。つまり、出入りする芸能プロの人間が貼り紙を見て、応募してくるというのだ。
「俳優を集める際には、よく使われる手法で、貼り紙には『このドラマのこんな役柄』と明記して、手をあげた事務所との間でギャラ交渉をする。交渉の結果、最も安上がりな俳優を起用することが多いのですが、『半沢──』は違ったんです。貼り紙には役柄や役名などは明記せず、ただ『演技の上手な役者を求む』とだけ書かれたのです」(前出・TBS関係者)
この制作サイドの強いこだわりが、個性豊かな脇役陣を生み出したというのだ。
そこで、本誌はテレビ局関係者や芸能関係者に取材し、「半沢直樹」をきっかけに最も成り上がった脇役俳優は誰かを聞いた。
すると、一番の当たり役との答えを集めたのは、片岡愛之助(41)であった。言わずとしれた金融庁のエリートの黒崎駿一役である。大阪編では出向先の大阪国税局統括官として、東京編では金融庁検査局主任検査官として、常に半沢に立ちはだかった敵だ。あのオネエ口調は誰しも耳から離れないことだろう。
芸能評論家の三杉武氏はこう話す。
「市川海老蔵(35)が六本木で殴打された事件で、その代役をみごとに演じて、歌舞伎の世界では実力は認められていた片岡ですが、歌舞伎と縁がない人にしてみると、女性タレントとの熱愛や隠し子騒動など、私生活での話題ぐらいでしか認知されていなかった。しかし、今回のドラマで現代劇でも演じきれることを証明できたのではないでしょうか」
そして、その片岡のネチネチした演技にいちばん魅了されたのは原作者の池井戸潤氏だというのだ。
「現在、連載中の小説『半沢シリーズ』第4弾である『銀翼のイカロス』で、黒崎が帰ってきたのです。これは池井戸氏が片岡の演技を気に入ったためと言われており、ドラマの続編でも片岡が起用されることが予想されています。もっとも舞台の予定に、年明け公開の映画『シベリア超特急シリーズ』の主演も決まっていて、スケジュールはいっぱいのようです」(芸能プロ関係者)