半沢の敵として東京編から登場した伊勢島ホテル専務の羽根夏子役を演じた倍賞美津子(66)も「成り上がり」という意味では高評価を受けた。
もはや大女優の域に達している倍賞だけに、成り上がる必要すらないようにも思えるが‥‥。
民放局関係者が、その理由をこう説明する。
「倍賞は11月公開の映画『ペコロスの母に会いに行く』の主演が決まっていた。表向きは体調不良のため、撮影延期の末に降板したことになっていますが、実際にはあとからオファーが来た『半沢──』の羽根専務役を選んだがために、降板したのです。映画のほうは主演とはいえ、認知症の老母役できわめて地味です。一方の羽根専務は原作では男性だったのに、女性という設定に変えたのも倍賞が引き受けたからと言われるほどですから、自分を厚遇してくれて、かつ注目度の高いドラマのほうを選ぶ、そんな女優の嗅覚は、まさに成り上がろうという若手女優と同じですよ」
伊勢島ホテルの創業者一族を追い出そうと画策する女帝ぶりは、意外と倍賞の素に近いのかもしれない。
何もブレイクしたのは半沢とバトルを演じた俳優ばかりではない。芸能記者がこう力説する。
「大和田派で陰湿な本店人事部次長の小木曽を演じた緋田康人(49)は年内のスケジュールが埋まっているほどの引っ張りだこですし、支店長の腰巾着のように寄り添い、半沢をイジメまくった大阪西支店の副支店長、江島浩役の宮川一朗太(47)はすでに連ドラ2本を掛け持ちして、舞台を控えて稽古も重なり、睡眠時間を削っている多忙ぶりだそうです」
最も嫌われるはずの“小悪党”まで浮上させるとは、さすが国民的ドラマである。
さて、「半沢──」といえば、出演者の女優の割合が非常に少ないことも話題となった。そんな中で、男性視聴者の目を釘づけにしたのは、やはり壇蜜(32)だろう。
大阪編の西大阪スチール社長の愛人、藤沢未樹を演じ、演技力では賛否あったものの、重厚なドラマでありながら肌の露出で楽しませてくれた。
しかも、愛人役とあって女性視聴者から見放されたかと思いきや、脇役俳優陣では最大の利益を上げたという。ある広告代理店関係者がこう話す。
「テレビに出演し始めた当初から壇蜜はイロモノ扱いで、CMスポンサーが付かないのではと見られていました。ところが、『半沢──』出演で、その不安を払拭しました。すでに、CM契約を5社と結び、新たに女性向けのヘアケア関係も含め、数社のスポンサーが決まる見込みです。1社当たり2500万円から3000万円の契約料ですから、左ウチワ状態ですよ」
それにしても、「半沢ノミクス」とも呼ぶべき、このバブル状態はいつまで続くのだろうか。前出・三杉氏はこう予想するのだ。
「『半沢──』のプロデューサーの一人は、年内にも別のスペシャルドラマを手がけるとの情報もあり、『半沢──』の続編制作は来年以降ということになる。短く見積もっても、それまでの半年間はこのブームは続くのではないでしょうか」
本家のアベノミクスよりも長続きしそうなのだ。