セ・リーグとパ・リーグはどちらが強いのか?しばしば問われてきた論争だが、過去の日本シリーズを見てみると、巨人のV9時代が1973年に終わり、しばらくセ・パ混沌とする。
82年から92年までの11年間では常勝球団の西武ライオンズが8度制しており、2011年からの10年間では、去る11月25日、巨人に4連勝し、4年連続で日本一となったソフトバンクが、10年のうちで7度日本一と、強さを見せつけていることから、近年はパ・リーグ優勢の印象だ。
ところが、93年からの10年間を見てみよう。もっとも日本一に輝いているのはヤクルトスワローズの4度で、続く巨人が3度、横浜ベイスターズ、オリックス・ブルーウェーブ、福岡ダイエーホークスが各1度とセ・リーグが優勢だったのだ。
この、ヤクルトの4度の日本一のうち、3度は故・野村克也監督時代であり、当時、ヤクルトは何ゆえに強さを発揮していたのかを、95年にヤクルトに入団し、日本一を3度味わった元プロ野球選手の宮本慎也氏が明かす番組があった。
YouTubeチャンネル〈日本プロ野球名球会チャンネル〉の、11月20日投稿回である〈【宮本慎也が語る】野村克也監督率いるヤクルト黄金期の秘密と「監督待望論」〉を観てみると、宮本氏が入団した当時、すでに野村ヤクルトは日本一を1度成し遂げ強豪チームの仲間入りを果たし、「ヤクルトの野村監督VS巨人の長嶋監督」の構図が明らかであった。
「打倒巨人」「巨人に勝たないと優勝できない」をスローガンに、野村監督はローテーションを少々崩してでも巨人にエースをぶつけるなど、わかりやすく標的を絞っていたと宮本氏は振り返ったのだった。
19年、20年とセ・リーグ連覇を成し遂げた原辰徳巨人だが、今年も昨季に続く日本シリーズ4連敗。そんな巨人を最大のライバルとして熱意と敵意を剥き出しにして、ペナントレースを戦う他球団の監督が現れることが、セ・リーグの強化をはかる上で急務なのかもしれない。
(ユーチューブライター・所ひで)