今季のプロ野球セ・リーグは、ヤクルトがサヨナラ劇で連覇を成し遂げた。ヤクルトの連覇は、野村克也監督時代の92、93年以来となるが、高津臣吾監督のそれは「不思議な連覇」と言わざるをえない。というのも、2年連続で10勝以上の投手が現れない可能性があるからだ。
昨年のチーム最多勝利は、奥川恭伸と小川泰弘の9勝。今年はサイスニード9勝、小川と高橋奎二が8勝、高梨裕稔と原樹理は7勝、石川雅規が6勝、などとなっている(9月29日時点)。
あの巨人V9時代(65~73年)を振り返れば、エース・堀内恒夫や、400勝投手・金田正一らがフル回転し、10勝どころか20勝以上を挙げたことも。
では、野村監督時代の92年はどうか。やはりというか、岡林洋一15勝に、西村龍次14勝。93年は伊東昭光13勝、西村11勝、川崎憲次郎と山田勉が10勝を挙げている。
翻って、今季の高津ヤクルトはといえば、前述の通り。野球解説者の江川卓氏も、2年連続でリリーフ陣の整備は難しいことから、春先の順位予想でヤクルトを優勝から外していた。ところが、結果は大ハズレ。9月27日に更新したYouTubeチャンネル〈江川卓のたかされ〉で、自らの判断について次のように懺悔したのだった。
「高津さんがリリーフエースだったことを忘れていたな、という。高津さんという最高のクローザー、この経験を持った人が、私の感覚を覆して優勝された」
高津監督は現役時代、最優秀救援投手の栄誉に4度、輝いている。
「勝ちに不思議の勝ちあり。負けに不思議の負けなし」の格言を残した野村監督は、愛弟子の采配にどんな評価を口にするか。ぜひとも聞いてみたかったのだが。
(所ひで/ユーチューブライター)