続いて、年末に季節外れの桜騒動の渦中に立たされることになったのが、安倍晋三前総理(66)だ。全国紙政治部デスクが、その動静について語る。
「昨年8月末、安倍氏は持病の悪化を理由に、2度目の途中辞任を発表した。当時、森友・加計に続き、『桜を見る会』の前夜祭での不正会計疑惑がありました。5月と8月に相次いで公職選挙法違反と政治資金規正法違反の疑いで東京地検に告発状が出されたこともあり、特捜部の捜査が迫ったために退陣したともささやかれた。ところが退陣後は若手議員などと連日、会食に出歩くなど、羽が生えたように元気な様子。当初から、桜問題では不起訴になると高をくくっていたのです」
しかし、余裕しゃくしゃくの旗色が一転したのは11月23日。政治ジャーナリストが語る。
「読売新聞が1面で『安倍前首相秘書ら聴取』とスクープした。もともとこの前夜祭案件は、安倍氏が忌み嫌う共産党の機関誌『しんぶん赤旗』のスクープだった。それが、最も信頼していたはずの読売に捜査情報を報じられてしまったことで安倍氏は顔面蒼白となり、以降、人目を忍ぶようになったのです」
その後も読売新聞は「800万円超補填」(11月24日付)、「領収書破棄か」(11月25日付)と連日のように1面で報じ、木から落ちた猿とばかりに、安倍氏の責任を猛追及した。
「この疑惑に関し、国会の質疑で『事務所側が補填をしたという事実はまったくない』『私がここで話しているのがまさに真実』など、計118回にわたってウソの強弁を続けた安倍氏への『ブーメラン』は避けられなくなり、特捜部への期待は高まりました」(政治部デスク)
しかし、蓋を開けてみれば、政治資金規正法違反で略式起訴、罰金100万円の処分となったのは、公設第1秘書の配川博之氏(61)。案の定、安倍氏は不起訴となった。
「配川氏は安倍さんの選挙区を固める地元の番頭で、公選法違反で逮捕された河井案里被告(47)の選挙でも『安倍晋三筆頭秘書』の肩書で暗躍していました。今回の処分は、完全なトカゲの尻尾切り。とはいえ、政治家のためなら命を賭すのが秘書の役目です。かつて小沢一郎氏の陸山会事件では、逮捕された秘書らに億単位の『身代わり金』が渡ったと言われます。安倍さんも同様に、辞職となった配川氏の『面倒』を一生見るんじゃないでしょうか」(自民党議員秘書)
この息詰まる攻防を高みの見物とばかりに傍観していたのが、自民党・二階俊博幹事長(81)だ。
昨年12月27日放送の「激論!クロスファイヤ」(BS朝日)にゲスト出演。直前の24日に衆参両院の議院運営委員会に出席した安倍氏は、事件について「結果として、答弁の中には事実に反するものがあった」と謝罪しながらも、自身の関与を否定。この桜問題が議題となったところで司会の田原総一朗氏が、
「配川氏は安倍さんの貯金から1000万近いカネを勝手に下ろして使った。安倍さんはもっと怒っていいはずだ」
と、声を荒らげて追及する。すると二階氏は面倒くさそうな表情で、思わずポロリ。
「ですから、安倍さんのほうから、そこから支払いなさいと言った」
驚いた田原氏が「え、言ったの?」と確認を迫る。身内からの思わぬ暴露で「完全OUT!」となったのである。