1月20日、東京・築地「新喜楽」で行われた第164回芥川賞・直木賞の選考会。芥川賞は宇佐見りん氏の「推し、燃ゆ」、直木賞は西條奈加氏の「心淋し川」となり両賞とも女性による受賞となった。
今回の芥川賞・直木賞で注目を集めていたのが芸能人のノミネートだ。
芥川賞はクリープハイプのボーカル・尾崎世界観が「母影」で候補に。直木賞はNEWSの加藤シゲアキが「オルタネート」でノミネートされていたが、いずれも受賞には至らなかった。
そんな中、直木賞の審査員を務める作家・北方謙三氏による加藤についてのコメントが話題となっている。
加藤の「オルタネート」について「私は非常に青春小説としてよく書けていると思いました」と評価した北方氏。
「これを強く推す委員も他にもいました」としたうえで「決選投票の前に加藤シゲアキに直木賞を受賞させようという機運が選考委員の中にあって、私もその一人でした」と明かしたのだ。
「北方氏のコメントを巡り、ネット上では『人気芸能人である加藤をエコヒイキしているのではないか』といった声が相次いでいるんですよ」とは文壇事情に詳しいライターだ。さらにこう続ける。
「多くのネットユーザーが引っかかったのは『受賞させようという機運』という表現。結果、加藤が受賞しなかったことで『出来レースにならなくて良かった』との書き込みもネット掲示板に散見されました」
ただし、こうした“エコヒイキ説”について同ライターは「完全に早とちりです」とため息をつく。
「しっかりと北方氏の講評を読めば一目瞭然ですが、一言も『有名人だから』とは言っていない。加藤の作品が受賞レベルに達していたことで『機運』が生じたと明確に説明しているんです。完全に『ネットの切り抜き』による誤解ですよ」(前出・ライター)
加藤の受賞も遠くなさそうだ。
(山倉卓)