中山のメインはGIIの別定戦、アメリカジョッキークラブカップだ。
4月の頭に行われる大阪杯(阪神芝2000メートル)が17年からGI戦になって以降、そこに照準を合わす馬の出走も多くなってきているし、これまでどおり天皇賞・春を見据えた馬がその一里塚にしており、顔ぶれはバラエティーに富む。以前と比べて興味を引く一戦になった。
毎年、顔ぶれのいい重賞ではあるが、出走頭数は少なかった。しかし、今回はフルゲート(17頭)が予想される。それだけに、馬券的にもおもしろそうだ。
天皇賞・春を目標に置いている明け4歳勢は、ここでは間違いなく主力の一角となる。中でもアリストテレスは、その最たる存在だろう。
菊花賞(2着)以来3カ月ぶりの実戦になるが、その菊花賞で三冠馬コントレイルとの死力を尽くした戦いは、目に焼きついて離れない。2勝クラスを勝ち上がったばかりでのGI挑戦。
もし、菊花賞の前に神戸新聞杯やセントライト記念といった前哨戦に出走できていれば、そこでの強敵相手との経験がモノを言ったのではないだろうか。つまり、コントレイルの三冠を阻んでいたかもしれないのだ。
その菊花賞でアリストテレスに遅れることコンマ6秒差3着のサトノフラッグ、2番人気に支持されたヴェルトライゼンデ(結果7着)。この3頭は、いずれも今後の成長株であり、まずは古豪との初顔合わせの一戦でどんな競馬を見せてくれるのか、目を離せない。
むろん明け4歳馬は、この牡馬勢だけではない。オークス2着、前走のエリザベス女王杯(4着)で見せ場を作ったウインマリリンも出走してくる。
また、古馬勢もなかなかだ。昨年の2着馬ステイフーリッシュ、長期休養明け3戦目になるジェネラーレウーノ、ステイヤーズS僅差2着タガノディアマンテなど役者ぞろい。それだけに下馬評どおりいくかどうか。どう転ぶかはわかったものではない。
前述した中で、穴党として最も期待を寄せたいのはジェネラーレウーノだ。
一昨年のAJCC(4着)を使ったあと、屈腱炎を発症、1年8カ月半の長期休養を余儀なくされ、復帰後の2戦は【7】【5】着。一昔前まで「不治の病」とされていた脚元の疾病を乗り越えてのもので、本来の姿を取り戻すのに時間を要するのはやむをえないところ。この2走は、しかたのない結果と言えよう。
しかし前走後は、ここを目標にしっかりと調整。暮れから年明けにかけての稽古は入念で、中間の追い切り内容も実によかった。
「馬体が締まって雰囲気がとにかくいい。活気が出てきたし、前2走とは違う」
矢野調教師がこう言って目を細めるほど。であれば、力を出せる状態に達しているとみていいのではないか。
GIIセントライト記念を完勝しているように、中山の芝2200メートルは、この馬にとって最も得意とする舞台。今回は休養明け3走目ということで、走り頃でもある。ならば狙わない手はないだろう。
行く馬がいないようならハナに、他にハナを主張する馬がいれば番手や3番手でも競馬ができるタイプ。さらに、この重賞は6~7歳馬の健闘が目立ち、よく連対を果たしている。明け6歳となったジェネラーレウーノの完全復活を期待したいところだ。