新型コロナウイルスに感染すると「血栓」のリスクが高まることが指摘されている。
「血栓」とは、血管の中にできる血の塊。血管の壁に傷がついていたり、血流が遅くなるといった要因が重なるとできやすくなる。
この「血栓」が原因で引き起こされる病態は「血栓症」と総称されて、「動脈血栓症(血流が速い動脈にできる)」と「静脈血栓症(血流が遅い静脈にできる)」の2種類に分別される。
「動脈血栓症」が原因で引き起こされる代表的な病気が「心筋梗塞」と「脳梗塞」だ。
「心筋梗塞」は、動脈硬化で狭くなった血管の内部が詰まったり、血栓部分が剥がれて、その先が塞がってしまうことで発症する。心筋に酸素や栄養素が行き渡らなくなると、部分的に壊死してしまい、場合によっては死に至ることもある。脳の血管を血栓で塞いでしまう「脳梗塞」は、高脂血症の人に特に発症しやすい傾向がある。
一方、「静脈血栓症」が原因の代表的な病気には、深部静脈血栓症(手足の静脈に血栓)、肺塞栓(肺の血管が突然詰まる)、エコノミークラス症候群などが挙げられる。
この「血栓症」を誘発する原因は、「血液ドロドロ」だ。食べすぎや運動不足、ストレスといった生活習慣の乱れにより、血液が流れにくくなって発症する。特にコレステロールや中性脂肪値が高い人は、突然死につながる可能性もある。長時間同じ姿勢でいたり、脱水症状なども「血栓症」を引き起こしやすいので注意が必要だ。
予防には適度な運動とバランスのよい食事で「コレステロール値」を管理することが大切だ。近年は「少し高めのほうがいい」とも言われるが、極端な「コレステロール値」の異常は、心筋梗塞や脳出血、脳梗塞のリスクが高まるので、気になる人は医師に相談するとよいだろう。
田幸和歌子(たこう・わかこ):医療ライター、1973年、長野県生まれ。出版社、広告制作会社を経てフリーに。夕刊フジなどで健康・医療関係の取材・執筆を行うほか、エンタメ系記事の執筆も多数。主な著書に「大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた」(太田出版)など。