緊急事態宣言やまん延防止等重点措置などの適用地域を中心に、休業や時短に応じた飲食店に支払われるいわゆる「協力金」。この協力金制度が本格化したのは昨年暮れからで、一律の支給額は1日あたり2万円⇒4万円⇒6万円と徐々にアップしていった。
経営規模の大きい業者からは「協力金では家賃も賄えない」との悲鳴が上がる一方で、小規模店舗をめぐっては「協力金バブル」なる新語も誕生した。
オーナーママが1人で切り盛りする、神奈川県のカラオケスナックを例にとれば、
「今年6月までの約半年間で合計888万円の協力金が舞い込む計算に。これまでのように支給対象期間が連続するのか、飛び飛びになるのかは状況次第ですが、今年後半の支給額は少なく見積もっても今年前半の半分、444万円くらいにはなるだろうとみられています」(地元商工会関係者)
888万円に444万円を足せば、今年1年間の協力金総額は1332万円。
加えて、持続化給付金の100万円や家賃支援給付金の約40万円を協力金に上乗せすることも可能で、これらを合わせた今年1年間の支援金総額は1500万円に達する計算になる。
ところが一連の協力金バブルには巧妙な「ワナ」が仕掛けられており、来年以降、バブルに躍った店主らはやがて、地獄を見ることになるという。
「実は休業や時短に伴う協力金も持続化給付金も家賃支援給付金も、来年の確定申告の際には所得として計上する必要がある。全てが所得税の課税対象なのです。ところが国や自治体が積極的にアナウンスしてこなかったこともあり、この事実をいまだに知らない店主は少なくありません。非課税と勘違いして支援金を取り崩し続けていると、所得税の納付期限がやって来る来年の春に“課税地獄”に陥ることになるのです」(前出・地元商工会関係者)
先のカラオケスナックの場合、ベースとなるのは1500万円の年間所得。店は完全休業を選択しているため、年間所得から差し引くことのできる経費は、家賃支援給付金分を差し引いた家賃やカラオケ機器のリース代、光熱費の基本料金などにすぎない。そしてこの場合の所得税率は33%であり、控除額を差し引いた最終的な納付額は、275万4000円に達する計算になる。
さらには、課税所得1300万円に連動する形で、住民税と国民健康保険料の納付額も跳ね上がる。住民税は年間130万円(課税所得の10%)、世帯あたりの国民健康保険料も年間80万円以上に達してしまうのである。
協力金バブルに躍らされた飲食店経営者は、ある意味で今回の制度の犠牲者かもしれない。飲食業界を襲う菅政権の巧妙な「罠」と待ち構える「地獄」の全貌は、6月15日発売の「週刊アサヒ芸能」6月24日号でレポートしている。