ペナントレースが終了し、来季に向けての12球団補強戦線で、シーズン最中のごとき激しい「乱闘」が繰り広げられている。ガチンコで相まみえるのは、中日の新GMと燃える闘将という超大物。かつて師弟関係にあったはずの2人の、27年に及ぶ犬猿の遺恨が今、暴発したのである。
クビになった選手、FA宣言した選手の獲得競争、交換あるいは金銭によるトレードと、ストーブリーグにおける各球団の補強戦線は今まさに本格化、活況の様相を呈している。さまざまな駆け引きが交錯するその舞台で激しいドツキ合いを演じているのが、中日・落合博満GM(59)と、悲願の日本一の座をつかんだ楽天・星野仙一監督(66)の大物同士なのだ。
「今オフの補強における両者のぶつかり合いはまず、西武からFA宣言した“スピードスター”片岡治大(30)の獲得に名乗りを上げたところから始まった。楽天は二遊間を強化したい。ゴールデングラブ賞を受賞した藤田一也(31)、ベテランの松井稼頭央(38)というコンビがいるが、両者ともに故障がちで、フルシーズン出場が難しい。そこで遊撃、二塁の両方をこなせる片岡に白羽の矢を立てたわけです」(スポーツ紙デスク)
一方の中日も同様で、クビ同然の88%ダウン3000万円という年俸を提示したことでケンカ退団した井端弘和(38)の穴埋めが必要になった。デスクが苦笑しながら続ける。
「星野楽天にしてみれば、『中日はあの井端をクビにしておいて、よく同じポジションの片岡を獲りにいくよなぁ』ですよ。楽天は井端獲りにも動いていますが、これは中日へのあてつけだ、との声も出ています。井端は星野監督が中日監督時代にドラフト指名して獲得した選手。それを落合氏にないがしろにされたわけで、『ウチで再生してやる』と。井端の退団発表後も、星野監督はその動向を気にかけていましたしね。もちろん楽天の補強対策は星野監督の意向が強い。実質的なGM監督ですから」
井端にとっても、かつての恩師の下でのプレーで、黄金期を支えてきた自分を追放同然で放出した古巣を見返すことができる。
では、楽天は井端に対し、どのくらいの金額を提示するのか。楽天球団関係者が言う。
「中日では3000万円という値段がついたわけで、5000万円から6000万円あたりが妥当なところでしょう」
落合氏、星野監督のガチンコバトルを知ってか知らずか、当の井端はというと、
「パ・リーグ球団への移籍には慎重な態度です。対戦投手のことをよく知らないわけですから。交流戦があるとはいえ、たかだか4試合では投手のクセはわかりません。あとは、本拠地の仙台が寒いということもありますね」(中日グループ関係者)
片岡、井端には巨人も触手を伸ばしているとされ、長期戦となる可能性もある。補強戦線を制するのは落合氏か星野監督か──。
◆アサヒ芸能11/19発売(11/28号)より