「主人公が政治家の妻とママ友になるのですが、彼女の夫が梅毒に感染したのをきっかけに、ドロドロの愛憎劇が繰り広げられます。何を隠そう、そのママ友を演じるのが、W主演の尾野真千子(39)。実績十分の実力派女優とあって、2人の演技合戦は話題になること必至だったのですが‥‥」(映画関係者)
この映画には原作があった。91年に刊行された島田荘司氏の小説「毒を売る女」(河出書房新社)だ。
原作では、尾野がキャスティングされた若妻・大道寺靖子が、夫の梅毒感染を知って狂気の行動に走る。
深田が演じる主人公の“私”を妬み、一家を梅毒に感染させようと、親子が通うスイミングスクールのプール内に尿を垂らし、さらには彼女の夫をホテルへと誘い出して全裸で誘惑するのだ。
帰宅した夫の洋服の香水の匂いから靖子との浮気を疑った“私”はヒステリーを起こし、梅毒感染のリスクを承知で、
〈「抱いてよ。今すぐ。ただしあれつけてよ」「じゃあ今夜、寝る前にしてくれる? できる?」〉(原作より引用)
避妊具付きのセックスを言い寄る場面も見どころだった。
「原作は30年前に出版されたもので、その通りに描かれない場面もありますが、“毒女”となった尾野がスイミングスクールで肢体をさらし、全裸で男を誘惑すれば、深田も負けじと夫にセックスを迫る。過激シーンの目白押しで大きな話題になったでしょう」(映画関係者)
だがそんな期待も叶わず、制作は暗礁に乗り上げた。そこには多少の無理もあったと、映画関係者が明かす。
「年内は深田のスケジュールがいっぱいで、5月下旬からは連ドラの撮影を控えていました。短期間で撮り終えなくてはならなかったため、ロケは朝から深夜にまで及ぶこともあったそうです。経験が少ない母親役だったこともあって、演技について思い悩む場面もあったようです」
次第に追い込まれていく深田の体調を考慮し、撮影延期が決まったのは、5月18日のことだった。同日には〈撮影延期のお知らせ〉と題した文書で、
〈5月より緊急事態宣言下において慎重に撮影を進めて参りましたが、緊急事態宣言延長の影響を受け、たびたびの日程変更、ロケーションの利用制限、また出演者の体調不良などにより撮影困難な状況が重なった為、協議の結果、作品の撮影延期を決定致しました〉
として、出演者やスタッフ、関係各所へ正式な制作ストップが伝えられた。
「延期になったのは深田一人の責任ではありません。文書にあるように、緊急事態宣言の延長で、ロケを予定していた施設からNGを通告される不運もありました。豪華共演陣は、尾野に限らず、綾野剛(39)や田中哲司(55)、桐谷健太(41)など売れっ子ばかり。スケジュール調整が難しく、年内の再開は断念するしかありませんでした」(映画関係者)
予定を空けていた人気俳優を巻き込み、大騒動へと発展したのだ。