芸能

追悼・千葉真一「風来坊82年」全秘話と「コロナ死」直前肉声(2)野際陽子との無国籍な演技

 千葉の名を知らしめた「キイハンター」は、最高視聴率30%を超す人気番組だった。これまで誰も見たことのないアクションをお茶の間に届けたが、常に危険と隣り合わせだった。

 千葉は18年、週刊アサヒ芸能のインタビューでこう答えている。

「黒人の男と手錠でつながれていて、そのまま脱獄。その手錠を線路に潜り込んで、走って来る汽車で切断させるとかね」

 千葉が「一歩間違えれば死んでいた」と言うのが、走行中の車を減速させながらセスナ機に飛び移るシーンだ。

「足が車のハンドルに引っかかって抜けなくなった。神経が足に集中するから、よけいに抜けない。『ああ、この高さでコンクリートに頭から落ちたら死ぬな‥‥』と覚悟して。そしたら、それで自分の足から意識が消えたんだろうね。スコーンと抜けて、セスナに飛び移ることができたよ」

 本作で最初の妻となる野際陽子と知り合うことに。野際が亡くなってから1年後のインタビューだったが、尊敬の念は持ち続けた。

「陽子ちゃんが持っている『日本人にはないおしゃれなリズム』を生かしてあげようと。(劇中で)彼女を救出する時に『お嬢さん、死にたくなかったらお手をどうぞ』とキザなセリフを言ったりね。そんな遊び心を陽子ちゃんも楽しんでいたよ」

 女学生雑誌の表紙を飾るほどアイドル的存在だった千葉が、まるで真逆の役柄で評判を取ったのが「仁義なき戦い 広島死闘篇」の大友勝利役である。

〈言うならアレらはオメコの汁でメシ食うちょるんど!〉

 そんな破壊的なセリフが次々と飛び出す凶暴なキャラだ。実は当初、最後に自決するヒットマン・山中保を演じるはずだった。セリフも完璧に頭に入っていたが、クランクインの10日前、本来は大友役の北大路欣也から「役を代えてほしい」との申し出があった。

 11年の週刊アサヒ芸能のインタビューで、千葉は偽らざる心境を明かしている。

「山中の役作りを終えていたんですよ。だから欣也ちゃんが山中をやりたいと言っても、了解できるはずはなかった」

 そこから千葉は、自室に籠城した。ただ、監督はお互いのデビュー作からの付き合いとなる深作欣二である。これは監督の意向かと気づいた千葉は、そこからさらに24時間かけて、大友を演じることを決意。

「役のモデルの人の写真を見せてもらったら、かなり下唇が厚い人だった。だから下唇を引っくり返し、かつらに使うノリで固定して分厚さを強調していた」

 さらに深作監督が手を叩いて喜んだ役作りは、北大路に襲撃された千葉が、とっさに目の前に段ボールをかざした場面だ。

「つまり、相手から顔が見えなければ防げるんじゃないかって知恵のなさを見せたアドリブ。結局、大友はテキ屋のボンボンであり、本物のヤクザじゃないってことを表現したかった」

 もはや完全に大友勝利を楽しんでいたのだ。

カテゴリー: 芸能   タグ: , , , , ,   この投稿のパーマリンク

SPECIAL

アサ芸チョイス:

    なぜここまで差がついた!? V6・井ノ原快彦がTOKIO・国分太一に下剋上!

    33788

    昨年末のスポーツニュース番組「すぽると!」(フジテレビ系)降板に続いて、朝の情報番組「いっぷく!」(TBS系)も打ち切り決定となったTOKIOの国分太一。今月30日からは同枠で「白熱ライブ ビビット」の総合司会を務めることになり、心機一転再…

    カテゴリー: 芸能|タグ: , , , , |

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<寒暖差アレルギー>花粉症との違いは?自律神経の乱れが原因

    332686

    風邪でもないのに、くしゃみ、鼻水が出る‥‥それは花粉症ではなく「寒暖差アレルギー」かもしれない。これは約7度以上の気温差が刺激となって引き起こされるアレルギー症状。「アレルギー」の名は付くが、花粉やハウスダスト、食品など特定のアレルゲンが引…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , , , |

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<花粉症>効果が出るのは1~2週間後 早めにステロイド点鼻薬を!

    332096

    花粉の季節が近づいてきた。今年のスギ・ヒノキ花粉の飛散量は全国的に要注意レベルとなることが予測されている。「花粉症」は、花粉の飛散が本格的に始まる前に対策を打ち、症状の緩和に努めることがポイントだ。というのも、薬の効果が出始めるまでには一定…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , , |

注目キーワード

人気記事

1
上原浩治の言う通りだった!「佐々木朗希メジャーではダメ」な大荒れ投球と降板後の態度
2
フジテレビ第三者委員会の「ヒアリングを拒否」した「中居正広と懇意のタレントU氏」の素性
3
3連覇どころかまさかのJ2転落が!ヴィッセル神戸の「目玉補強失敗」悲しい舞台裏
4
ミャンマー震源から1000キロのバンコクで「高層ビル倒壊」どのタワマンが崩れるかは運次第という「長周期地震動」
5
巨人「甲斐拓也にあって大城卓三にないもの」高木豊がズバリ指摘した「投手へのリアクション」