テリー もう40年近くお笑いをやってきて、お笑いの質というのは何か変わったと思う?
久本 基本的に、私はそんなに変わってないような気がするんですけどね。やっぱりコケたらおもしろいし、ベタっていうんですかね、ああいうのは絶対的にウケるというか、絶対的に楽しい。漫才にしろコントにしろ、私達みたいなのにしろ、やり方はいろいろありますけどね。
テリー ワハハって外国の人もみんな笑える笑いだよね。
久本 ありがたいです。だから私たちにもっと力があれば、ほんとは外国でやりたかったんですよね。1回詐欺に遭いましたから(笑)。アメリカでやるっていう話になって、みんな浮かれてパスポート取ったんですけど、結局、直前でそのコーディネーターが詐欺師っていうことがわかって。
テリー お金とられたの?
久本 そのギリ前でわかったんです。なんか焦らすし、早く振り込めとかいろいろ言うし。よく考えたら、その人の名前が「オクノホソミチ」だったんですよ。
テリー アハハハハ。
久本 で、後々ですけど、どう考えてもおかしいだろっていう話になって(笑)。でも、やりたかったですね。もう体が動かないです。当時のネタをやるっていったらやっぱり。
テリー ワハハの本公演を短く編集してYouTubeで流したら、世界中の人が高く評価してくれると思うけどね。
久本 マジっすか。ひと儲けしたいですね(笑)。
テリー この前のオリンピックの開会式でも「が~まるちょば」がおもしろくて、評価も高かったでしょう。あれ見て、「あ、これは耳の不自由な人でも楽しめるな」と。ワハハなんか、どっちかというと、そういうネタがいっぱいあるじゃないですか。
久本 正直、パフォーマンス的なことに関して言えば、世界に通じるやついっぱいあると思います。
テリー ほんと、そうだよね。だから、もう体が動かないって言ったけど、まだまだこれからじゃないの?
久本 いやぁ、もうひと踏ん張りします? そうなったらみんな毎日整体に行かなきゃいけなくなる(笑)。
テリー でも当然、一生続けていくわけでしょう。
久本 そうですね。生涯現役でありたいって言い続けてるので、テレビの世界でもオファーがあればやり続けたいと思いますし、時代も世代も変わっていくけど、それでもある意味、なくてはならない存在になれたらうれしいなって思いますね。もちろん舞台もやり続けていきたいですし。そのためには健康第一って、つくづく思いますね。やっぱり体が動いてナンボなので。
テリー うん。俺、久本さんは役者として絶対いいと思う。樹木希林さんみたいになれますよ。
久本 いやいやいや、希林さんはお芝居がうまいから。私なんて足元にも及ばないですよ。
テリー いや、芝居というか存在としてさ。あと俺、芝居がうますぎると鼻につくからあんまり好きじゃないんですよ。カラオケで「マイウェイ」をうまく歌う人と一緒で、「もうわかった、わかった」って言いたくなるんです。
久本 あぁ、そういうこと。じゃあ、よかった下手で。いや、違う違う。おかしい、おかしい(笑)。
テリー だいたい60歳過ぎてうまくなろうって、図々しいんですよ。そうじゃなくて。目指すのはそっち側じゃないんだよね。
久本 なるほどね。テリーさん、一度ワハハ本舗に来て講演してくださいよ。たぶん、全員がホッとすると思いますから(笑)。
◆テリーからひと言
会っても、じっくり話す機会がなかなかないから楽しかったな。蛭子さんならいつでも紹介するから。早くいいパートナー見つけてね。