テリー ワハハって、もう何年になるの?
久本 37年ですね。最初は柴田(理恵)さんとか私とか含めて5人で始めてね、ワハハは劇団じゃなくて集団でいくって言ってたんですけど、今や完全に劇団になりましたね。
テリー これ(公演のチラシ)見ても、すごいメンバーだよね。
久本 27人ぐらい出るんじゃないですか。ゲストも含めると30人は超えると思います。
テリー 30人と5人って全然違うじゃないですか。
久本 人数が多い分、舞台も大きくなって、華やかになるし、大がかりなことができるし。ダンスするにしても端から端までバーッと2段、3段いますから、やっぱりダイナミックさが違いますよね。
テリー オールスターみたいなもんだもんね。
久本 どこにも行きようのないヤツばっかりですけどね(笑)。
テリー 全体公演はこれからもやっていくの?
久本 1回やめるとか言っちゃったんですけどね。喰さんが「もうあと何年生きるかわからないから好きなことやりたい」なんて言って。でも、やっぱりお客さんの反応がすごくて。だから世間からは“やめるやめる詐欺”って言われてるんですけどね(笑)。とりあえず私たちとしては、体が続く限り、お客さんが見てくださる限り、やっていきたいとは思ってますね。
テリー それこそ80歳になって、途中で「トイレに行く」って言って舞台下りちゃってもいいよね。途中で寝ちゃったって、ワハハだったらおもしろがってくれるし。
久本 そうですね。自分で言うのもなんですけど、ワハハってほんとに唯一無二だと思ってますので。そのかわり好き嫌いが激しい劇団ではあるんですけどね。笑いのためなら何でもするっていうコンセプトで、若い時から「60になってもお尻出したいよね」って言ってたら、今も順調に出してますね(笑)。
テリー お客さんの層は?
久本 やっぱり高くなってきてますよ。昔は夜と土日公演はいっぱい入って、平日の昼はお客さんが入らなかったじゃないですか。今は時間とかお金の余裕は年配の方のほうがあるので、昼公演のほうが売れるんです。これは、ここ何年かで変わってきました。
テリー いいことだけどね。
久本 そうですね。老化現象の自虐ネタを言っても、すごく共感して、笑ってくださるので。でも若い子に演劇離れされるのはちょっと寂しい気もしますよね。もちろん好きな人は好きで、若い劇団もいっぱいあるんですけど。
テリー 確かに東京乾電池とか東京ヴォードヴィルショーが出てきた頃って、10代とか20代の感度のいい若者が行ってたもんね。第三舞台とか。
久本 そこに私たちも乗っかったんですけどね。アンダーグラウンドのミュージシャンや演劇を知ってること自体がちょっと格好いいみたいなね。
テリー いとうせいこうさんとか宮沢章夫さんとかね。
久本 でも、今はやっぱり時代が変わりました。
テリー ワハハは変わらないじゃない。
久本 私も相変わらず股間に風車付けて、お客さんに吹いてもらってますからね。今回はコロナ禍で、ワハハ独特のお客さんと一体になるっていうのは、ちょっとできないですけど。
テリー 今はそうか。
久本 はい。梅垣(義明)が客席に下りていって鼻から豆飛ばすなんてのは、絶対に無理ですね。