制作費180億円、正月恒例の時代劇「忠臣蔵」を斬新に脚色し、最新CGを駆使した映像で年末の目玉として大ヒットが期待された映画「47RONIN」の大コケぶりがスゴイ。
主演に日本では“一流スター”のキアヌ・リーヴスを迎え、真田広之、浅野忠信、柴咲コウ、菊地凛子、赤西仁という「日本人だけど何とか英語はダイジョーブ」という意味で、現在考えられる最高のメンツが脇を固めたにも関わらず、12月7日・8日の封切週の土日で興収1億524万円。この週のぶっちぎり1位が「ルパンVSコナン」の企画アニメで、興収約6億5000万円なのだが、じつは公開スクリーン数が、前者が753スクリーンで、後者が329スクリーン。その差は歴然だ。観客数でいえば「47RONIN」は1スクリーンあたり、1回の上映で平均12人程度となる(公開週でだ!)。ツイッターに「(空席多すぎて)ヤバイ」などと書き込みがされたのもうなずける惨状だったようだ。
これには「私たちが日本を代表するハリウッド役者よ!」とドヤ顔で出演した俳優陣も穴があったら入りたい心境だろう。しかも、どうやら洋画業界ではこの映画は“なかったこと”にするかのように、宣伝マンらも苦笑いのあと「びっくりしましたね」以外、何も語ろうとしない。
ところがそんな大コケ作にもかかわらず、劇場で鑑賞していた井筒和幸監督は、
「ひと言、ゲテモノやね。ちょっと前に『ウルヴァリンSAMURAI』とかいう、レミゼの兄ちゃんが主演したトンデモ映画があったけど、“ハリウッドジャパニーズ”はもう古いねん。ヘンなニッポン、ヘンな日本人、ヘンな東洋かぶれの外人…そんなものばっか見せられて、さすがに客もウンザリしたんやろ。アメリカも日本人に観せて稼ごうという腹づもりなら、もっと気ィつかわないと。まさに政治と同じ、アメリカはまだ日本を統治してると思ってる、国民はウンザリしてるんやけど、安倍とかアメリカ様を崇めてる政治家たちはヘコヘコしてる。『47RONIN』の温度差はその構図そのものや! ゲテモノやから正月の厄除けにはなるやろ」
と、猛毒ブッタ斬り。怖いもの見たさで観るならご自由にといったところだが、公開2週目で早くもランキング外に消えたこの大作、毎年「忠臣蔵」が話題となる大晦日まで上映しているかどうか‥‥それすら心配になってきた。