「優勝請負人」と聞いて真っ先に浮かべるのは、現・福岡ソフトバンクホークスの工藤公康監督だ。現役時代には、セ・パ4球団を渡り歩き、西武ライオンズ、福岡ダイエーホークス、巨人では日本シリーズを制覇する活躍ぶりだった。
では、「闘将」の異名も取った故・星野仙一監督が、「日本一の投手コーチ」と認めた、「優勝請負人」の名に相応しいコーチと言えば?
現役時代には最多勝利、最優秀防御率のタイトルに輝いた元プロ野球選手であり、コーチとして歴任したセ・パ5球団のうち阪神タイガースでリーグ優勝、北海道日本ハムファイターズ、東北楽天ゴールデンイーグルス、福岡ソフトバングホークスでは日本一に大きく貢献した、佐藤義則氏である。
阪神時代、星野氏が監督に就任したのは2002年と03年で、一方、佐藤氏がコーチとして就任したのは02年から04年。てっきり星野監督が佐藤氏を招聘したのかと思いきや、プロ野球のOB、1300人が所属している「プロ野球OBクラブ」のYouTubeチャンネル〈プロ野球OBクラブチャンネル〉の、9月26日投稿回で、意外な事実を佐藤氏が明かしている。
「星野さんだったら誰か投手コーチ連れてくるのかなと思いながら待機してたら、そのままになって…」と、佐藤氏のほうが先に阪神のコーチに就任していたのだと振り返っているのだ。
さらに、星野氏が楽天の監督に就任したのは11年からだが、佐藤氏は09年からすでにコーチに就いていたことから、「全部、オレの後追いかけてくるのよね、この人。オレが行ってる時に星野さんが来るんですよ」と、星野監督に呼ばれたわけではないのだと笑いを誘ったのだった。
星野監督が唯一、「日本一」に名を刻んだ楽天時代の13年。これも佐藤氏なくして達成はなかったかもしれず、2人の因縁を感じさせる、意外で興味深い話である。
(ユーチューブライター・所ひで)