新生・矢野阪神は連勝スタートを飾った。続く3戦目では競り負けし、まだまだ安心はできないが、開幕戦の連勝した2試合とも投手陣が最小得点差を守った。オープン戦で湿りがちだった打線が奮起すれば、Aクラス争いも十分できそうである。そんな期待の持てた阪神に対し、前任者・金本知憲氏が選手たちとのつながりを強調し始めた。
「衛星放送・スカパーのプロ野球中継の宣伝CMに、金本氏が登場しました。阪神監督を退いた後、自身の野球殿堂入りを祝うパーティーには姿を見せましたが、表舞台にはあまり出ようとしなかったので、野球ファンにはインパクトのあるCMになったようです」(スポーツ紙記者)
その金本氏が、矢野阪神について語り始めたのだ。退任当初は選手との交流はないと話していた。しかし、先のCM収録後の会見では「(監督を)辞めた後も若い選手を中心にいっしょに食事に行った。その後、8人くらいがうちに来て二次会を開いた。時計やらジャンパーやらいろいろ持ってかれたけど」と、親密、かつ良好な関係を強調していた。
「金本氏が監督として采配を奮った最後の2018年は、ベンチの雰囲気も良くありませんでした。金本監督のイライラが蔓延し、若い選手はミスを恐れ、萎縮していました。その時の様子からして、自宅で二次会を開くなんて考えられない」(在阪記者)
金本氏が阪神との親密関係を公表したことに対し、こんな見方もされている。
「星野仙一氏で優勝したとき、阪神フロントは前任者の野村克也氏を持ち上げていました。野村時代に選手を育て、それを星野監督が受け継いで優勝した、という図式をアピールしたんです。野村氏のこれまでの実績に対する敬意から、そして、この先もいがみ合ったままだとマズイと思って、阪神が先手を打ってそういう発言をしたんです」(前出・在阪記者)
金本氏の若手との親密ぶりに、驚いた取材陣も少なくなかった。しかし、これは球団サイドが仕掛けたものではない。4番の大山、二塁の定位置を獲った糸原などは金本政権で頭角を表した若手である。それはアンチ金本派も認めている。今回の親密発言は、矢野阪神が優勝した時に備え、金本氏みずからが売り込んだもののようだ。
(スポーツライター・飯山満)