故・星野仙一監督と言えば、「闘将」「怒れる名将」といった気迫を前面に押し出すタイプで、球場では常に吠えており、怖い人…といったイメージの強い監督だった。ところが、その星野監督以上に、実は怒らせると怖いコーチがいたという興味深いエピソードが明かされる番組があった。
プロ野球OBが多数所属している「プロ野球OBクラブ」の公式YouTubeチャンネル〈プロ野球OBクラブチャンネル〉の、6月17日付け投稿回〈星野監督の闘魂はハンパなかった。星野監督の監督室には宝石だらけ。野村監督、岡田監督との違いは?〉の中で紹介されたが、主に阪神で活躍した元プロ野球選手・濱中治氏の口から明かされたその名前は、2007年に他界した島野育夫氏だった。
島野氏は現役時代、中日、南海、阪神とセ・パ両リーグ3球団を渡り歩き、ダイヤモンドグラブ賞を受賞すること3度の名手であった。現役引退後は、中日、阪神でコーチを務め、星野監督のもと、1999年の中日、03年の阪神のリーグ優勝に大きく貢献する存在で、星野監督の名参謀として活躍した。
星野監督が怒った時は、島野氏が選手にフォローを入れ、逆に島野氏が怒った時には星野監督がフォローするといった、まるで夫婦のような信頼関係に結ばれていたという両氏。
「島野さんは怒らせるな」と阪神に来る際、中日ナインから漏れ聞いていたとも濱中氏は口にしており、ふだんは優しい島野氏も、ひとたびスイッチが入れば、星野監督以上の激高ぶりだったそうで、乱闘では真っ先にベンチを飛び出すといったエピソードを濱中氏が時に笑いを交えて明かしたのだった。
星野氏と島野氏が空の上で再会を果たし、かつてを懐かしむように談笑する様が目に浮かぶような、味わい深く見ごたえのある回であった。
(ユーチューブライター・所ひで)