2021年七月場所(名古屋場所)10日目、目標にしていた10勝に到達した白鵬は、この時、引退の2文字を考えるようになった。
改めて白鵬が、しみじみと語る。
「右ひざは限界を超えていました。その中で15戦全勝を達成できたことは、まさに奇跡に近い一番一番でした。それは今まで相撲に打ち込んできたことへの神様がくれたプレゼントだという気がしてなりません」
この七月場所で果たした奇跡の復活劇を含めた白鵬の、相撲とともに歩んだ半生の真実が語られる同時進行相撲マンガ「白鵬本紀」が「週刊アサヒ芸能」で連載中だが、その第1巻「英雄の子」も発売中。オビの文言「確かに私にもいつか終わりは来るでしょう。それが半年先あるいは1年先なのか、いや明日かも知れません」も反響を呼んでいる。
ともあれ、突然ともとれた「引退劇」の余波が収まらぬ中、連載中の「白鵬本紀」第23番は、全編、「ただいま現在」をモチーフにした特別編をお届けする。
─2021年七月場所終了後、弟弟子たちと稽古で、汗を流している時、その“異変”は起こった。
仕上げのぶつかり稽古の時、この九月場所に新十両の土俵に上がるはずの北青鵬(ほくせいほう)に、白鵬が促す。
「北青鵬(アリューナー)来い!!」
「オッス!ごっちゃんです!!」
声とともに、白鵬にぶつかる北青鵬。いつもは、たちはだかる壁であつた白鵬。だがしかし、ここで、白鵬は、一気に押し込まれことになるのである。
「踏ん張って…残りたくても…残せないのが現実でした!」(白鵬)
ついに、その時は来たのである。稽古場に一人座る白鵬に感謝を伝える宮城野親方。そして、あの「昭和の角聖」からの労いの言葉が…。「白鵬本紀」第23番「白鵬のいちばん長い日」は、10月12日発売の「週刊アサヒ芸能」10月21日号に掲載。はっけよい!!