引退劇の衝撃が冷めやらぬ白鵬の周辺だが、同時進行相撲マンガ「白鵬本紀」第25番の舞台は、2003年(平成15年)にさかのぼる。時に、白鵬18歳。西幕下44枚目で迎えた五月場所である。
場所前の白鵬は絶好調。2日目、4日目、6日目と三戦三勝の土つかず!これ以上ない好スタートを切った白鵬だったが、好事魔多し。「事件」が勃発するのである。
それは、モンゴルにいた時からの親友である、1歳年上の安馬(あま)こと、後の第70代横綱・日馬富士と会った日のこと。場所中だったが、互いの健闘ぶりを認め合い、門限近くまで話し込んだ2人であった。そこで、別れて、部屋に戻ればよかったのである…。が、安馬がささやく。「腹減ったなァ、ラーメン食べていかねェか?」「えッ!? でも門限の時間が…」と応じる白鵬だが、続けて「でも急いで食べれば大丈夫か!」
しかし、大丈夫ではなかったのである。
白鵬は、門限に遅れ、宮城野親方の逆鱗に触れることになる。「今すぐ荷物をまとめて、とっととモンゴルへ帰れ!」と突き放す宮城野親方。
それにしても、白鵬はなぜ、ラーメンを早く食べ終えて部屋に戻ることができなかったのか?また、果たして、宮城野親方の怒りは解けたのか…?
「確かに私にもいつか終わりは来るでしょう。それが半年先あるいは1年先なのか、いや明日かも知れません」とオビに記された白鵬自身の予言=決意が反響を呼び、復活の全勝優勝を果たした七月場所の真実が語られている第1巻が、発売中でもある「白鵬本紀」。今回の「第25番」のサブタイトルである「根性(ヤキ)稽古」は、白鵬が門限に遅れた後の顛末を示唆している。ヤキとは、鍛冶で、刃物を焼いて鍛えること=「焼き」を入れるが語源。宮城野部屋で、「かわいがり」が、待ったなしで始まった…。
エキサイティングな若き日の白鵬が読める「白鵬本紀」第25番「根性(ヤキ)稽古」は、10月26日発売の「週刊アサヒ芸能」11月4日号に掲載。はっけよい!!