巨人の1979年のシーズンオフ、一軍若手選手により静岡県伊東市で行われた、「地獄の伊東キャンプ」。その79年は長嶋茂雄監督第1次政権の5年目にして屈辱の5位に終わっており、これを打破するためにと、江川卓氏、西本聖氏、山倉和博氏、中畑清氏など、錚々たる顔ぶれが参加している。
そんな地獄のキャンプにおいて、なんとあの長嶋監督に“暴言”を吐いた選手がいたという。
その選手とは、元プロ野球選手・大久保博元氏のYouTubeチャンネル「デーブ大久保チャンネル」(10月19日付)に出演した、当時入団4年目だった篠塚和典氏である。
選手たちは辛い練習に耐えているにもかかわらず、コーチ陣は腕を組んでデンと構えた状態。「脅してやりたい…」といったヤンチャな好奇心も芽生えた頃合いに、中畑氏が「おい篠! ちょっと監督走らせろ!」と耳打ち。まだレギュラーの立場ではなかった篠塚氏だが、優しく言ってもつまらない…と考えた末に出た言葉が、「監督!ボーっと見てないで一緒に走ってみろ!」だったとか。しかし、シャレ心がわかる長嶋監督は「なにー!? この野郎!」と大声を上げつつ、手にツバしてランニングに並走。「それで苦しさが吹っ飛んだ」と篠塚氏は振り返っている。
篠塚氏は75年、巨人からドラフト1位指名を受けたが、高校3年時に湿性肋膜炎を患って数カ月間入院。しかし長嶋監督の「オレが責任を取るから!」の言葉に、「恥をかかせてはいけない」との決意でプロに臨んだことが、槙原寛己氏のYouTubeチャンネルでも明かされている。「地獄」とされる伊東キャンプだが、そんな師弟関係ゆえのホッコリする場面もあったようだ。
(ユーチューブライター・所ひで)