「10.8決戦」とは、1994年、プロ野球セ・リーグにおいて69勝60敗の同率首位で並んだ巨人と中日ドラゴンズのペナント制覇をかけた最終決戦のことである。
巨人はこの年12勝をあげている槙原寛己氏が先発するも、2回ともたずにマウンドを降りる。一方、中日は前年に17勝で最多勝を獲得した今中慎二氏が満を持して先発のマウンドに上がった。しかし、巨人の落合博満氏、村田真一氏らのホームランから、こちらも4回5失点で降板。槙原氏に続いて斎藤雅樹氏、桑田真澄氏の「巨人三本柱」で巨人が継投、「6対3」で勝利したのだった。
この決戦の舞台裏について、2009年の「ワールド・ベースボール・クラシック」第2回大会で日本代表チームのチーフスコアラーを務め、世界一に貢献した敏腕スコアラー・三井康浩氏が、西武ライオンズ、巨人で活躍した元プロ野球選手・大久保博元氏のYouTubeチャンネル〈デーブ大久保チャンネル〉の、1月15日付け投稿回に出演して明かした。それによると、当時は巨人のスコアラーを務めていた三井氏が、今中氏のクセを見抜いていたことが巨人の勝利につながったと振り返った。
実はこの年、夏前から今中のクセを見抜いていたと言う三井氏。しかし、その頃は巨人が独走態勢で、クセはチームで共有すると必ず相手に漏れてしまい対策をとられてしまう可能性があることから、来年に温存しておこうとの考えだったようだ。
…が、そうも言ってはいられない状況下がやってきたわけだ。試合前日に、三井氏は長嶋茂雄監督に今中のクセを示唆。みごと、勝利と相成ったということのようだ。
この試合直前のミーティングで、ナインを前に「勝つ、勝つ、勝つ!」と長嶋監督が景気をつけたのは有名な話。三井氏の功労で、長嶋監督は勝利を確信していたのかもしれない…。
(ユーチューブライター・所ひで)