テリー 完成した作品は手塚さんもご覧になったと思いますが、いかがでしたか。
手塚 なんか照れくさい部分もありましたね。最初のほうのシーンは、ほとんどお化粧もしてなくて、素に近い私だったので。その顔が大画面いっぱいに映って「大丈夫か、私」って。
テリー なんでですか、大丈夫ですよ(笑)。
手塚 途中、(手塚が演じる)咲子さんが青年に惹かれて可愛くなっていくっていうちょっとした変化を出したかったので、そうしたんですけど、ちょっと自分で年齢を感じてしまったというか。軽いショックを受けたり、「もう少しちゃんとメンテナンスしよう」とか、いろんなことを考えてしまって。でも、ずっと脇でやってきたので、主演というポジションは素直にうれしかったですし、皆さんにも見てもらいたいなって、すごく思ってますね。
テリー 千葉県の木更津が舞台なのは、なんでなんですか。
手塚 あれはカマチさんが木更津出身なんですよ。
テリー (カマチに向かって)木更津のヤンキーだったの?
カマチ いえ(笑)。木更津を盛り上げたくて。
テリー 僕も木更津は好きで、2カ月に1回ぐらい行くんですよ。アクアラインを通ると東京から40分ぐらいで行けるじゃないですか。この前も東京都の仕事で「東京のどこが好きですか」って聞かれたから、「木更津の堤防から見る東京」って答えたんですよ。金田港から東京を俯瞰して見る、あの風景が大好きなんですよね。
手塚 私もずっとロケしてて大好きになりました。撮影でも使った中の島大橋って、若いカップルがおんぶして渡ると恋が叶うっていうジンクスがあるんですけど、あの橋からも東京が全部見えて。あと、「しょ、しょ、証城寺(しょうじょうじ)、証城寺の庭は」の証城寺(證誠寺)が木更津にあったんだってことも初めて知りましたし。勝手にもっと山奥にあるんだと思ってたんですけど、意外と町の中にポツンとあって。すごくキレイなところですよね。
テリー 撮影中は東京と木更津を行ったり来たりだったんですか。
手塚 いえ、2週間ぐらいだったので、ずっと向こうにいて。
テリー あ、そうなんだ。じゃあ、昔からの仲間もいるし、演者やスタッフの結束も強まりますね。
手塚 そうですね。小規模で、スタッフも予算も少ない中でやってますから、みんな仲よくなって、ほんとに楽しかったです。
テリー 余談ですけど、風船ガムを膨らますシーンがあってね。
手塚 ありました。
テリー 顔の大きさぐらいまで膨らませてましたけど、あれって、ほんとに手塚さんがやってるの?
手塚 そうです。隣にいた(青年役の)高橋卓郎さんと一緒に膨らませるんですけど、なかなかタイミングが合わなくて何度もやり直して。
テリー そうなんだ。
手塚 リハーサルではバンバン上手くできてたのに、本番になったら緊張して全然できなくなっちゃったんですよ。それで「一回休もう」ってなって、再開したらあんなにぶわーんって膨らんだんです。ほんとはあのあとバーンって割れるので、そこまで使ってほしかったんですけどね(笑)。
テリー いちばん好きなシーンはどこですか。
手塚 私はピーナッツを机の上にたくさん置いて、ふて寝してるところですね。監督に「ちょっと動いてみようか」って言われて、動いてみたり、何度もいろんなパターンを撮ったんですよ。結局、動いたところを使っててくれて、私はあのシーンがいちばん好きですね。