脈拍のリズムが乱れる「不整脈」。心臓に異常があるのでは、と不安に思う人も多いが、実は「不整脈」の9割は放置しても問題なく無害だと言われている。
「不整脈」は、脈の規則性が一瞬でも乱れたものは全て「不整脈」と呼ぶため、自分で気づかないうちに起きていることも多い。つまり健康な人に起こることもあるのだ。例えば、緊張や不安、運動した後などに脈が速くなるのは極めて自然なことであり、しばらくして収まる場合は心配ない。
しかし、命に関わる危険な「不整脈」もあるため、注意が必要だ。特に気をつけてほしいのが「頻脈性不整脈(頻脈)」だ。
心臓は1日に約10万回、一定のリズムで全身に血液を送り出している。健康な成人の場合、安静時の脈拍は1分間に60~100回程度とされている。しかし、安静時でも1分間の脈拍数が100回以上ある場合には「頻脈」と診断される。脈拍数が1分間で140回くらいある場合は危険な状態と考えられる。
さらにひどい場合は、1分間の脈拍が400回を超えることもあり、心臓がドキドキする、めまい、立ちくらみ、失神、けいれんといった自覚症状があり、最悪の場合は死に至るケースもある。
脈拍が速くなりすぎると、心臓が血液を効率的に送り出すことができなくなるため、心臓から全身に血液を送れなくなってしまう。失神や心停止発作に至ってしまうこともあるのだ。
頻脈の原因は、狭心症、心筋梗塞などの冠動脈疾患、心臓弁膜症、心不全、心筋症などの心疾患以外にも、甲状腺疾患、肺疾患、電解質異常、肥満などで起こる。こうした症状や病気のリスクがある場合は、その治療が必要とされる。
予防法は、日頃からのストレスを解消、睡眠不足などの不規則な生活習慣を改善することも重要だ。
田幸和歌子(たこう・わかこ):医療ライター、1973年、長野県生まれ。出版社、広告制作会社を経てフリーに。夕刊フジなどで健康・医療関係の取材・執筆を行うほか、エンタメ系記事の執筆も多数。主な著書に「大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた」(太田出版)など。