テリー 今回の役って、けっこう不幸な女性じゃない。こういう役って初めて?
山崎 いえ。私、幸薄そうに見えるみたいで。相手役の方に「幸薄そう」とか「幸薄そうな顔してるな」って言われる役が多いです。
テリー あ、そうなんだ(笑)。実際は、すごく明るくて自然体だけどね。
山崎 ほんとですか。
テリー うん。イメージと全然違った。それは私生活でも言われちゃうの?
山崎 いえ、私生活では言われないんですけど。幸薄そうに見えます?
テリー うん。
山崎 アハハ。やっぱり。
テリー でも、それは役者としては褒め言葉だね。だって、見るからに明るい顔の人ってNHKの大河に出られないよ。まぁ、山崎さんは背が高いから、もともと時代劇は難しいかもしれないけど。
山崎 そうですね。時代劇はちょっと‥‥。
テリー でも、幸が薄いと出られるんですよ。
山崎 アハハハハハ。
テリー ほんとだよ。アイドル歌手だったら幸薄い顔はマイナスかもしれないけど、幸薄いって、言い換えると「陰のある女」だから。もしくは「訳あり女」。それは深みのある役ができるっていうことだからさ。
山崎 じゃあ、得してるんですね。
テリー 今回、監督もそれを感じてオファーしてくれたんだと思うよ。手際いい演出だし、編集も上手い、才能ある監督さんだからさ。でも、上西さんは主演でもあるわけでしょう。現場ではどう撮影してるの?
山崎 「ヨーイ、ハイ」って監督が自分でスタートの合図を出して、自分の役を演じてセリフを言って、シーンが終わったら、自分で「カット」って言うんです。
テリー そうすると、全然モニターは見てないわけだよね。自分の演技はどう客観的に判断するの?
山崎 基本的には皆さんに「僕、大丈夫でしたか」って聞いてましたよ。
テリー 相手役の人に?
山崎 いえ、全員に聞きます。スタッフさんにも。
テリー でも、聞かれても困るじゃない。
山崎 そうなんですよね。監督自身の作品ですから「大丈夫かどうかは監督にしかわからないです」っていう。だから、監督が主宰する劇団の女優さんが、モニターをチェックしてくださってて。監督の性格をよくご存知なので、「大丈夫です」って言ってくださってました。もちろん、ほんとに大丈夫なんですけど。
テリー そうか、大変だなぁ。あと余談だけど、これ、配給に吉本興業が入ってるね。
山崎 そうですね。最初は入ってなかったんですけど、前篇の途中から奥山和由さんが製作総指揮をやられることになって、一緒にやりましょうっていうことになったみたいです。
テリー へぇ、そういうことなのか。たぶん奥山さんって嗅覚のある人だから、前篇を見て「これはイケる」って思ったのかな。奥山さんって「その男、凶暴につき」で初めて(ビート)たけしさんを監督として起用した人だからね。
山崎 最初は「Vシネマの配信」って聞いていたので、こんなに大きい映画になって、今ビックリしてます。また監督さんが続きも撮りたいって言ってますし。
テリー あ、まだ続くんだ。
山崎 監督は自分が死ぬまで、1年に1本撮るって言ってます。
テリー そうか。寅さんみたいになるんだね。
山崎 ウフフ。そうなるといいですけど、ゴローさん、何人殺すんでしょうね。