巨人に移籍後初登板の田中将大が勝利投手となり、日米通算200勝まで「あと2勝」となった、4月3日の中日戦。その援護点は同級生で同じ少年野球チームに所属していた坂本勇人のバットから生まれ、対戦した投手も彼らと同学年の大野雄大だった。しかしこの日、同級生対決はパ・リーグでも行われていた。楽天×西武の一戦だ。
楽天先発の岸孝之が7回を投げて1失点。40歳での白星は球団史上、初めてだった。主役は新人から19年連続での勝利を上げた岸だろう。だが広島県・広陵高校の同級生で、ともにルーキーである楽天・宗山塁と西武・渡部聖弥の対決も興味深かった。
楽天の1点ビハインドで迎えた5回裏、一死一・二塁の場面で1番打者の宗山が打席に立った。西武先発・上田大河の変化球に、宗山はバットを止めかける。タイミングは完全に外されていた。勢いでバットを止め切れなかったが、宗山の打撃センスだろう。ボールはバットの芯に当たり、遊撃手と左翼手の間に打球が落ちた。
見せ場はここからだ。打球を処理したレフト・渡部が捕手にストライク投球。二塁走者はホームベース直前でタッチアウトとなった。宗山は一塁ベース上で顔をしかめ、渡部を一瞥した。
「宗山と渡部? いや、試合前に話をすることはなかったと思います。LINEやメールなどで普段から連絡を取り合っているかもしれませんが」(球界関係者)
宗山と渡部はただの同級生ではなかった。2人は野球部寮の同部屋でもあったのだ。
その後、宗山は明治大学へ、渡部は大阪商業大学へと進学し、プロ野球のユニフォームを着て「再会」した。
「西武先発の上田も大商大の出身で、1学年先輩です。昨年はケガで悔しい思いをしたので、渡部は復活をサポートしたいと考えていたことでしょう」(前出・球界関係者)
4月3日に繰り広げられた、2つの同級生ドラマ。野球マンガのような出来すぎた話ではあるが、宗山の打撃センスで生まれたヒットシーンを渡部が自分の見せ場に変えたプレーは、見応え十分だった。
この仙台は気温5度で、小雨がパラついていたが、スタンドはこのプレーに熱くなっていた。プロ野球の試合は、各選手が歩んできた人生が交錯する場所でもあるのだ。
(飯山満/スポーツライター)