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高騰するガソリンの出費続きで、家計が悲鳴を上げています。本来は「トリガー条項」なる規定を使えば直ちに値段は下がるはずですが、政府は「実施するには法改正が必要で時間がかかる」「値下げすると直前の買い控えで市場が混乱」などと先延ばしするばかり。ガソリンは40%以上が税金なので、トリガーどころか、一時的に税金をゼロにすればいいのに。なぜスピード感を持った対応ができないのでしょうか。
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この相談にはもう少し続きがあります。それは、
「実質的に法改正にはどのくらいの時間がかかるのでしょうか。国会議員が危機感を持って、国民生活のために全員で同じ方向を目指せば、国会審議は素早く進むのではないでしょうか」
というもの。これを聞いて僕は、ガソリン代が下がってほしい願いよりも、国会議員に対する不信感の方が上回っているように感じました。
現在、ガソリンは1リットルあたり160円前後でしょうか。一時190円という時もありましたので、ピークは過ぎたようにも感じますが、ウクライナ情勢によってまた高騰するのではないか、という懸念が出てきました。
昨年、経産省が「元売り業者に対して補助金を支払う」という制度を打ち出しました。しかしガソリン流通の川上にいる元売り業者が設定する卸売価格が引き下げられたとしても、小売価格を決めるのは全国の小売店、ガソリンスタンドです。川下にいる消費者の負担軽減には直接つながらない、という批判の声が上がっていました。
そして現在──。ウクライナ情勢が緊迫化して、岸田総理は先頃、ガソリン価格高騰への対策について次のように発言しました。
「トリガー条項も含めてあらゆる選択肢を排除せず、さらなる対策を早急に検討したい」
ガソリン税を一時的に軽減する同条項の発動をする方向で、と続けました。予算案の可決も含めて、本格的な検討に入ったようです。そこそこスピード感を持って対応しているようにも見えますが、ウクライナ情勢への危機感が後押ししたことは間違いありません。日本だけでなく、イギリスと欧州連合(EU)でも、ウクライナ情勢の影響で、ガスの卸売価格が17%も上昇。このガス高騰と連動して、ガソリンの価格が高騰することも予想できます。この期に及んで、日本の国会議員が危機感を持たないとなると、もう日本は終わっています。
僕は、問題の根源は官僚にあると感じています。これは「霞が関あるある」なのですが、やれ、この財源がなくなったらどうするの、この補填はどこからするの、と突いてくるのが官僚。例えるなら嫁が「少し下がったアンタのお給料、足りなくなった分はどこで補ってくんのよ!」とうるさく言うようなもの。
岸田総理は一見、嫁に弱そうなダンナ風ですが、実際は意外にそうではないかもしれません。このまま霞が関を押し切ってほしいですね。
宮崎謙介(みやざき・けんすけ)◆1981年生まれ。早稲田大学商学部を卒業後、日本生命などを経て12年に衆院議員に(京都3区)。16年に議員辞職後は、経営コンサルタント、テレビコメンテイターなどで活動。近著に「国会議員を経験して学んだ実生活に即活かせる政治利用の件。」(徳間書店)。