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やっぱり選挙制度はよく分かりません。今回の参院選、山本太郎さんはなぜ衆議院議員を辞めて、参議院に鞍替えしたいのでしょうか。衆院選の際に掲げていた志を、そのまま続けてもいいのでは。国会議員を辞めて県知事にでもなるならまだわかりますが、同じ国会議員ですよね。山本太郎、そこまで嫌いじゃなかったのに、嫌いになりました。
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このところ暑すぎて頭の中がメロリンキューになりそうですが、そもそも論として、きっと多くの国民が頭の中にハテナを浮かべたことでしょう。
閣僚を経験したり、党の要職に就いたりした参議院議員が衆議院への鞍替えを目指すことはそう珍しくありませんが、衆議院を途中で辞職して参議院へと鞍替えするというのは、かつて聞いたことがありません。
しかし、この背景は単純、想像しやすいのがまた残念です。確実に党の勢力拡大が目的なのですから。
つまりこの参議院選挙で、山本太郎というジョーカーカードを切ってきたわけです。もし今回の参院選で、山本太郎氏ではない、れいわ新選組の候補者が出馬していても、みんなスルーしてしまうでしょう。有名人の山本氏が立候補したら‥‥街頭に立っていたら山本氏を好きではない人でも、ひと目見ようと集まってきます。
本人は今回の鞍替えについて「現状では参院選で与党が勝って、その後、3年間は国政選挙がなく政治が暴走するので、それを阻止したい」と説明していましたが、おかしな話。衆議院議員としてやればいいだけです。彼のコメントをたとえるなら、Aという暴走族が悪しき勢力を拡大したので、それ以上暴走しないよう、Bにいたメンバーの「タロウ」がAに鞍替えして族たちの暴走を止める、というような感覚でしょうか(ちょっと違う?)。
話を戻すと、カラクリとしては、山本氏にとってはオイシイ流れ。比例で衆議院に当選していた山本氏は辞職すればまた、れいわ新選組の違う人が繰り上げ当選するわけで、議席が減るわけではありません。
その上で、知名度抜群の山本氏が参院選に出馬してもし当選すれば、参議院でのれいわの議席数を、現有の2からひとつ増やすことになりますからね。
これを有権者はどう捉えるのか。まずは結果を注視したいところです。でも、これで嫌われたら元も子もありません。やっぱり山本氏はメロリンキュー時代、俳優時代の方がよかった、という声も聞きますし、あのキャラに戻ってみては。
そうはいっても、有名人であれば誰でもいい、という枠から山本氏はもう外れ、政治家としてもキャリアがあります。ご自身の主張や政策はしっかりしていますし、支援者もいますからね。
それにしても、今回の選挙は暑さとの戦いも必至。山本氏が立候補している東京選挙区に関して言うと、6議席を激しく奪い合っています。今のところ自民が2議席、公明1議席、立民1議席、共産1議席‥‥と5議席は堅いと予想されていますが、残る1議席に、れいわの山本氏がキューッと滑り込んだとしたら‥‥。もう一度、彼をフラットに見てみてはいかがでしょうか。
宮崎謙介(みやざき・けんすけ)◆1981年生まれ。早稲田大学商学部を卒業後、日本生命などを経て12年に衆院議員に(京都3区)。16年に議員辞職後は、経営コンサルタント、テレビコメンテイターなどで活動。近著に「国会議員を経験して学んだ実生活に即活かせる政治利用の件。」(徳間書店)。