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21年9月にデジタル庁が発足し、昨年9月に始動。前政権の肝煎りで作られたはずが、庶民生活にはデジタル化について何の兆しも感じません。行政システム、書面手続き、社会インフラなど、当初掲げた旗印はかすみ、存在感は全くナシ。今国会で提出した法案は、交通反則金などの行政手数料を電子マネーで納付できるようにするもの、だけだとか。この半年以上、税金を使っていったい何をしているのでしょうか。
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これはデジタル庁に直接聞いてみた方がいいでしょう。というわけで、回答を得てきましたので以下、紹介します。
「日本のデジタル社会に向けては重点的な計画を出しており、現在着々と進んでおります。警察の違反金のキャッシュレス化法案に関しては、警察庁が積極的に動いたことで、素早く形になりました。が、これは氷山の一角です。来年から目に見えてくるものとしては、マイナンバーカードを活用した処方箋の電子化、健康保険証とマイナンバーの統合システム、タバコのタスポカード自販機対応、などなど。順次導入が決まっている施策もありますし、他にも数々の構造改革や個別施策に取り組んでおります」
土台はすでにできており、あとは各省庁の頑張りに依存する部分も大きいということです。
システムを作るのには確かに時間がかかります。例えば、大企業のシステム開発には数年かかりますが、早くても1年、平均すると2、3年がかりになる場合があります。企業単位ですらそうなのですから、国家で考えると、さらに規模が大きくなります。
要はシステムを開発してどう運用していくかですが、デジタル庁は開発、管理の旗振りとコンサルをやっている「長」なんです。これまではシステムの専門家がいなかったといっても過言ではない国政で、今は専門家を多く募ってチームとして動いていますし、それぞれがそれぞれの分野で、システム管理しているということです。
先日、知り合いの医師から聞いたのですが、抗原検査の際のデータ記述を、最初は紙でやりとりしていたものが、デジタル化されて楽になったのだと。これは厚労省が動かなければ紙のままだったでしょう。まさに官僚組織にはびこる「紙の方が間違いはないはず」と思い込む無謬性を打破した結果。不要な紙がそもそも謎に存在していて、その無駄な業務フローそのものをデジタル庁側から働きかけてなくしたんです。
省庁だけでなく、各自治体との調整もあると教えてくれました。日本の1741自治体に統一フォーマットはないそうですが、全ての自治体にペーパーレス化やシステム合理化への合意をもらって進められるようになったといいます。
デジタル化の羅針盤はこの1年でガッチリ固めたということですので、あとは片っぱしから進めるだけ。僕も大臣の進め方のスケジューリング資料を見せていただきました。膨大な資料で、それを読むだけで2時間近くかかってしまい‥‥。でも、本当にそれを実現できないと意味がない。ぜひ進めて下さい。
宮崎謙介(みやざき・けんすけ)◆1981年生まれ。早稲田大学商学部を卒業後、日本生命などを経て12年に衆院議員に(京都3区)。16年に議員辞職後は、経営コンサルタント、テレビコメンテイターなどで活動。近著に「国会議員を経験して学んだ実生活に即活かせる政治利用の件。」(徳間書店)。