美しい貴婦人が一糸まとわぬ上半身を惜しげもなく晒して籐の椅子に腰かけ、足を組みながら正面を見つめている──。
そんな艶美あふれるポスターが街中の至る所に貼られていたのが、1974年の年末から1975年初頭。フランス映画「エマニエル夫人」である。
外交官の夫の赴任地バンコクに降り立った若妻エマニエルが、平穏で退屈な生活から開放的な性の世界へ足を踏み入れる。そんな艶っぽいドラマながら、美しいポスターや評判に釣られて、女子高生まで映画館に足を運ぶという社会現象を巻き起こした。
当時の興行収入15億円は、1975年の国内年間ランキング第3位。邦画トップだった「寅さん」シリーズや山口百恵・三浦友和主演の「伊豆の踊子」、洋画のドル箱だった「007」シリーズの新作、アカデミー賞を受賞した「ゴッドファーザーII」を上回るヒットを記録したといえば、いかに衝撃的ブームだったかがわかるはずだ。
そんな「エマニエル夫人」がおよそ50年ぶりにリメイクされると発表されたのだ。
映画ライターが語る。
「空前の大ヒットで、エマニエル夫人が座ったタイプの籐の椅子は『エマニエル・チェアー』と呼ばれるようになりました。リメイク版の主演は、フランスの人気女優。『007』の最新作でダニエル・クレイグ版ジェームズ・ボンドの最後の恋人役としてファンを魅了したレア・セドゥということで、本気のリメイクだと世界中で話題になっていますね。かつて社会現象となった日本でも、艶っぽい映画としては異例のトレンド入りしました」
実はエマニエルを演じるレア・セドゥが「007」に出演して以降、「本田翼に似ている」と話題になっているといい、
「髪の色、目元のライン、肌の透明感、そして少しはにかんだ瞬間がソックリだと言われていますね。昨年大ヒットした『007ノー・タイム・トゥ・ダイ』の公開中もSNS上で『レア・セドゥがばっさー(本田の愛称)にしか見えん』という投稿が至るところで見受けられたほどです」(前出・映画ライター)
そんな経緯から「ばっさー主演のエマニエル夫人かと思うと、我慢できない」などと先走る声すら出てくる始末。
はたして、いかなる艶作品になるのか。「主演・本田翼」として鑑賞すれば、興奮度は10倍増かもしれない。
(塚田ちひろ)