芸能

昭和美女 驚愕の「炎上スキャンダル」〈インタビュー・肥留間正明(芸能文化評論家)〉私が見た「3大醜聞」の知られざる舞台裏

 今や「昭和のスキャンダル」をリアルで追いかけたジャーナリストは少なくなった。そのうちのひとりが芸能文化評論家の肥留間正明氏(72)だ。数々の現場を踏んだ肥留間氏が、特に印象に残った3つのエピソードを語った。

「なんといっても忘れられないのは、関根恵子(現高橋惠子・67)の愛の逃避行ですね。彼女が22歳の時、新進作家だった河村季里氏(78)と熱愛関係に陥り、2人で岐阜県飛騨高山の奥地に隠棲してしまった。それを追って私たちも飛騨高山まで飛んだ」

 その頃の関根はデビュー作から体当たり演技も辞さない若手有望女優として、将来を嘱望されていた。それだけにプレッシャーは大きかったのだろう。自殺未遂を起こし、女優業を休業していた。

 当時、週刊誌の記者だった肥留間氏は、カメラマンとともに2人を直撃する。

「ほんとに田舎でね。なんにもない。最初、河村氏は『何も話すことはない』と取材拒否だった。もちろん、ハイそうですか、と帰れないから、泊まり込みで粘ってね。そして河村氏にこう言ったんです。『僕たちも来た以上は簡単に帰れない。長弾(ナガダマ・望遠レンズ)持って、いつまででも狙いますよ』と(笑)。結局、河村氏が根負けして取材を許可してくれた」

 まさに昭和の時代の週刊誌取材そのものだが、肥留間氏が驚いたのは取材中の関根に対してだった。

「河村氏がボソボソとこれまでのいきさつを話してくれる中、関根がお茶を入れてくれ、さらにメシ時だったこともあり、カレーライスを作って出してくれた。大きなジャガイモがゴロッと入って素朴でおいしかったんですけど、ビックリしたのは関根の所作。彼女はほとんど口をきかないけど存在感は抜群。あとになって撮った写真を見ると、お茶やカレーを出してくれた時も一分の隙も見当たらない。完璧な女優の顔なんです。これには恐れ入った。ある意味、常時ナチュラルに演技をしているんだね」

 その2年後、女優復帰を果たした関根だが、舞台をドタキャンして河村氏と4カ月近く海外へ逃避行。15年に出演したテレビ番組で「あの時は死ぬつもりだった」と振り返っている。

 次に肥留間氏が挙げたのが、元祖北海道のスター・松山千春(66)だ。

「北海道出身で千春とも親しい関係だったアスリート周辺から、結婚を前提とした彼女がいる、という情報が入った。その頃の千春はデビューして間もなく、女性ファンに絶大な人気を誇っていた。それだけに、これはスクープだ! と」

 北海道に飛び、千春と彼女らしき人物が住むマンションも確認。いざ記事にしようとしたが──。

「事務所から、(女性ファンが多い)今は堪えてくれないかと話が来た。でも私自身は、この目で確認したし、見たことを書くだけですと。ただ、載せる、載せないは編集部が決めること。最終的にはスクープを見送り、3回連続で千春と旬の美女対談を載せるということで決着した。いわゆるバーターですね」

 ここまでは業界裏事情あるあるとも言えるが、この話には続きがあった。

「千春から『もし、彼女と結婚する際は、一番先にあなたに連絡する』と言われた。まあ、そういう話はこれまでもいろんな芸能人からも言われましたが、本当に私のところへ結婚報告の連絡があった。『約束だから』ってね。後にも先にも、芸能人でこのテの約束を守ったのは、松山千春ひとりだけです」

 その後も、肥留間氏が取材に行った際には、新千歳空港まで千春自身が車で出迎えたことも。義理堅い千春の本領発揮と言えよう。

「3つ目は火野正平(73)。プレイボーイぶりは芸能界では周知の事実で、また実際によくモテた。71年に一般女性と結婚し、2人の子供をもうけていますが、ほどなく事実上、別離をしている。その後は小鹿みき(72)や西川峰子(現仁支川峰子・64)など、多くの女性の名前が挙がった。しかも、それが被っている時がある(笑)。正確に言えば、いわゆる不倫になるわけですが、彼のおもしろいところは、相手の女性から愚痴や悪口が一切出ないところがすごかった」

 肥留間氏は小鹿みきが経営する愛知県名古屋市内のクラブを直撃する。

「聞いたんですよ。火野さんみたいなプレイボーイでもいいんですか? たとえ二股、三股でも、ってね。ところが小鹿は『私が好きになったの! だから仕方ないじゃない』と。火野正平の“男力”には脱帽するしかなかったですね」

 まさに「女遊びは芸の肥やし」がまかり通る、昭和芸能人のスキャンダル模様だった‥‥。

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