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水産物仲卸業の社長を28年やっております。創業52年、私は2代目ですが、豊洲市場に移って間もなくコロナ禍に。飲食店の大半が緊急事態宣言やまん防で休業し、支援金もロクにありません。このままでは市場は壊滅してしまいます。
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政治連載がリニューアルしました。みなさんが抱える社会的な問題や不満などを「陳情」として取り上げ、政治や行政ができることを調査していきます。
さて今回の件、「飲食店への支援は1日4万~6万円の給付金があるのに、他の業態への支援金や補助は全くない」として、この仲卸社長は水産卸組合を通じて東京都に訴えたそうですが、小池都知事からは回答なし。社長はこう言います。
「飲食ではない形態の中小企業、個人事業者は最初の持続化給付金と、今年初めにもらった30万円の一時支援金のみ。6月になって月次支援金の名目で3カ月ほど月20万円を出す、と政府が打ち出しましたが、一人分の給料にもならない。豊洲市場から一般のスーパーへの流通は全体の10%で、残りの90%は飲食店への卸。飲食店が閉じると、おのずと市場全体が閉じるんです。そんなこと、東京都はわかっているはずなんですよ。組合や理事が都に訴えても解決しないので、国に陳情すると『東京都へ予算を投げているから、あとは東京都に任せた』と言う。 でもお金はおりてきません。コロナ融資を受けて1年半近く経ち、返済も来年から始まります。あと少しで体力がなくなります。とにかく真水のお金を下さい‥‥」
緊急事態が解けると一旦は売上が上がるものの、悪い時は8割減だそうです。
豊洲市場を管理しているのは東京都ですが、全体の管轄は農林水産省です。補助金は経産省、衛生に関しては環境省。悪しき縦割り行政ですが、農水省にまとめて質問してみたところ、
「東京都は豊洲市場側に出向き、個別相談会を開催していますし、社会保険労務士の資格所持者を雇って、丁寧に対応しています。また、都の補助金を活用して、ECサイトの販売等仲卸業者の方々は経営難をしのいでいるようです。仲卸業者に方々も従来の経営スタイルを改善しようと自分たちも変わらなければいけないと思っている業者さんもいるので、いろいろ試行錯誤してみて下さい」
まるで他人事です。菅総理が掲げる「自助」でなんとかしろ、ということですか。話になりません。
水産業界はこれからロビー活動をもっとするようにしないといけないと考えますが、まずは東京都の社労士に現状を知らせ、借入金などの返済を延長してもらうよう要請すべきでしょう。
東京五輪閉会式の映像で、次期開催国のフランスはすごいことになっていました。マスクなしで密も密。昔のパリに戻りつつあります。しかし経済を回す、というのはそういうことです。
そもそも飲食店を休業させているにもかかわらず、感染者数は大爆発。いくら「五輪と感染者数増加は無関係」と菅総理が力説しても、それなら酒禁止と感染者数の減少も無関係、と考えてしまう。飲食店の時短要請とアルコール禁止をやめるところから、問題解決はスタートするのです。
宮崎謙介(みやざき・けんすけ)◆1981年生まれ。早稲田大学商学部を卒業後、日本生命などを経て12年に衆院議員に(京都3区)。16年に議員辞職後は、経営コンサルタント、テレビコメンテイターなどで活動。近著に「国会議員を経験して学んだ実生活に即活かせる政治利用の件。」(徳間書店)。