安倍晋三元首相が7月8日午前11時半ごろ、奈良市内の近鉄大和西大寺駅前で街頭演説中に、散弾銃のような銃で背後から銃撃された。病院に救急搬送されたが、心肺停止の状態で、発砲したと思われる人物はその場で取り押さえられた。
7月10日に参院選の投票日を迎える中での銃撃事件で日本国内には衝撃が走り、各テレビ局は一斉に特別番組に切り替えた。与野党幹部はSNSなどで「武器による言論弾圧は許せない。安倍元首相の無事を祈る」とのメッセージを発した。一方で、「これで参院選は自民党の大勝だな」とのうがった意見も出ていた。
各メディアの報道を総合すると、安倍氏は発砲された直後は意識があった模様だが、ドクターヘリで奈良県立医科大学病院に搬送中に容態が悪化した。
事件直後、発砲した男はSPに取り押さえられ、警察に逮捕。取り押さえられた男は奈良県在住で40代の、山上徹也容疑者。SNSでは、山上容疑者と思われる人物の写真があがっている。地元関係者が言う。
「半グレや暴力団関係者には見えません。身長175センチほどのやせ型で、一見するとアイドル好きの青年にも思えます。グレーのTシャツ、カーキ色のカーゴパンツで、黒の眼鏡をかけ、マスク姿。銃は肩から望遠レンズケースともみられる細長いケースに入れていた模様で、一見すると銃が入っていたかどうかは分かりませんでした」
銃弾は少なくとも2発だった模様で、現場にいた人の複数の証言によれば「安倍氏が話し始めた1分後くらいに最初の音がした」「最初は音だけだったが、2発目は煙が上がり、その直後に安倍さんが倒れた」「男は発砲した直後、すぐに銃を捨て、呆然と立っていた。すぐに関係者に取り押さえられた」ということらしい。
使われた銃は、散弾銃とみられているが、奈良県警はその後、「銃である」と発表している。
この事件を受け、岸田文雄首相は遊説先から急遽、首相官邸に引き返した。政府は官邸に対策室を設け、情報収集をしている。松野官房長官は「いかなる理由でもこのようなことは許せない」とコメントした。
(健田ミナミ)