7月8日午前に安倍晋三元首相が奈良・近鉄大和西大寺駅前で選挙応援演説中に銃撃され、死亡したことを受けて、NHK、テレビ民放各局は深夜まで、報道特別番組による対応に追われた。
民放テレビ局編成マンによると、
「一報を受けてNHKだけでなく、民放テレビ局も昼ニュースを延長する形で、現地で撮影、SNSに投稿された写真や動画を流し始めた。現地記者のリポートが最も早かったのはNHK。現行犯逮捕された容疑者の氏名を最初に出したのは、日本テレビでした」
早い時間帯に「心肺停止状態」との一報が出たこともあり、
「報道フロア内には、さらに緊張感が走りました。別舞台は逝去した場合に流す、安倍元首相の歩みをまとめたVTRの制作に取り掛かっていた」(前出・民放局編成マン)
その中でも早々と深夜帯のニュース番組まで報道特番の編成を決めたのは、フジテレビだった。系列局関係者は、
「銃撃を受けた体の状況が厳しいことはある程度、想定していたけど、まさか深夜まで先陣を切って特番対応するとは思いませんでしたね」
と語った一方で、こんな本音も。
「ウチは視聴率が総じて悪いから。特番ならどんどん引っ張れるし、普段より数字が上がることも見込める。社長も代わったばかりで、色を出したかったと思うよ」
異例の対応の裏には、テレビ局らしい打算があった。