ものまね四天王の中では、結果的に本物の「ルパン三世」の声をやるまでになった技巧派の栗田貫一よりも、顔にセロハンテープを貼って、淡谷のり子に「この人嫌い」と吐き捨てられていた清水アキラ。あるいは歌唱力の高さで、英語の楽曲をこれみよがしに歌うビジーフォーよりも、鼻くそをほじりながら野口五郎の「私鉄沿線」を歌うコロッケの方が好きだ。どれだけ似ているかということよりも、どれだけ笑えるか。エンターテイメントに徹しているものまねの方が、圧倒的に面白い。
なので、ものまねだけでなく笑いも提供してくれる松村邦洋やコージー冨田、原口あきまさといったものまね芸人が好みで、先日の「ボクらの時代」(フジテレビ)に出ていたホリ、JP、ミラクルひかるの3人もそのタイプだろう。
ホリはキムタクの「チョ、待てよ」の開発者だし、JPは松本人志でおなじみ、ミラクルひかるは工藤静香など悪意の塊(!?)100%でものまねしていて、3人とも大好きなものまね芸人だ。
あるトーク番組の中で、ホリが「これ、オンエアできるかどうかわからないけど、すごく思っていることがあって」と、こんなことを言い出した。
「少しずつ、(テレビにおける)モラルが強くなってきてるじゃないですか。外国人のまね、例えばルイ・アームストロングをやる、ってなった時に、山寺(宏一)さん、昔は(顔を黒く)塗ってる時期があった。でも今、それをやったらアウトなわけでしょ。テレビでやらせてくれないわけじゃないですか。見た目を差別してるわけでも、イジってるわけでもない。『でも、それは今、アウトですね』っていうことになってきて、例えば、太ってる…体が大きい人、これを、肉襦袢着てものまねするのも、そのうちダメになってくるのかなって」
この不安の声に、ミラクルひかるも「なりますよね」と答え、さらに「私が思うに、ものまねもいつか、ダメになりますよ」と笑った。
が、彼らもそれが笑いごとではないことはわかっているようで、JPも「それ、ほんま、あると思いますよ」と真顔に。ホリは、
「だから『完コピじゃないと許さないよ』って人も増えてきたじゃない。でもちょっとデフォルメして『足りない』とか違和感…共感と違和感があるから面白いと思ってるんだけども」
そう付け加えると、否定的なファンの意見に疑問を呈したのだった。
3人が得意とするのは、口調や動作、癖、表情などまでまねし、時に誇張やデフォルメを施して笑いに繋げる。しかし、それが「ものまねされる側の個性であり、特徴であり、愛すべきところ」として真似ても、その模写が容姿いじりと言われて非難される日が近い将来、来ると危惧する3人。
ものまね文化の火を消してはいけない。
(堀江南)