川上哲治監督率いる巨人V9時代の1番打者・柴田勲氏はその俊足を生かし、6度の盗塁王を獲得。これはセ・リーグ記録であり、通算579盗塁もセ・リーグ最多だ。両リーグ通じても、「世界の盗塁王」こと福本豊氏(阪急)の1065盗塁、広瀬叔功氏(南海)の596盗塁に次ぐ3位である。
これほど実績のある選手には、本人の自由意思に基づき、塁に出れば「走る」「走らない」のジャッジをしているかと思いきや、名球会が運営するYouTubeチャンネル〈日本プロ野球名球会チャンネル〉に出演した柴田氏の話を聞くと、そうでもないようで…。
MCのパンチ佐藤氏が質問する。
「柴田さんが塁に出ますね。(2番打者の)高田(繁)さんの時に走れずに、高田さんがアウトになった。ワンアウト1塁としますよね。そういうときは、走るなのサインが出ているわけですか」
「3番・王貞治、4番・長嶋茂雄」の前で不用意に走ってアウトにならぬようにと、ベンチの指示があったのでは、というのだが、柴田氏はこう答えた。
「オレは現役の時に、フリーは1回もないから。サインなしは1回もない。全部、サイン!」
これは川上監督に限らず、長嶋監督になっても同じだったそうだ。その上で、あの盗塁数を稼いでいたとは、見事である。
(所ひで/ユーチューブライター)