思い起こせば、滝沢カレンが付けた芸能人のあだ名は秀逸だった。先駆者である有吉弘行は、黒柳徹子のことを「クソババァ」としたが、滝沢は「早口国宝」と慮った。
一方で配慮を見せず振り切ることも多く、高畑充希を「目鼻口近」と言ったり、日本テレビの水卜麻美アナを「肉米肉米」、東野幸治を「薄情大王」と呼ぶ。
その「薄情大王」も、あだ名付けをすることがある。
サーフィンばかりしているほんこんを「海くずれ」と呼んだのだ。
「『海くずれさん、今度、ご飯連れてってくださいよ』って1回言ってみたら?」
と後輩芸人をけしかけている。
思いつくなり後輩に振るところは、有吉に「2軍のボス」と付けられただけのことはある。
麒麟の川島明は「笑っていいとも!」に初めて出演した際、タモリから「下駄みたいな顔をしてるね」と言われ、ショックを受けた。
「なんやろう…『下駄みたいな顔をしてるね』はたとえじゃなく『下駄みたいな顔をしてるね』しかない。『皆さんの足を支える』とかじゃないのよ」
と言って、憤ったのだ。
さらには「タモリ倶楽部」に出演した際、「お前、台湾の獅子舞みたいな顔をしてるぞ」と言われた。
「また悪口。二枚悪口。いや、ありがたいですよ、嬉しいです」
もはや、そう言うしかなかったのだ。
(坂下ブーラン)
1969年生まれのテレビディレクター。東京都出身。専門学校卒業後、長寿バラエティー番組のADを経て、高視聴率ドキュメントバラエティーの演出を担当。そのほか深夜番組、BS番組の企画制作などなど。現在、某アイドルグループのYouTube動画を制作、視聴回数の爆発を目指して奮闘中。