芸能

蘇る!山口百恵「赤いシリーズ」の“衝撃”(5)シリーズでは悪役が多かった前田吟

20140522k

 昨今の改編期のように「NG大賞」は存在しない。ドラマとバラエティの棲み分けができていたのが70年代であり、役者たちが安易に“素顔”を見せることはなかった。

 百恵より2つ年上の秋野は、役柄では敵対しても、何かと波長が合ったという。

「ただ楽屋で百恵ちゃんと楽しそうに話していたところを、たしか『週刊平凡』のカメラマンに撮られてしまったんです。どうにか掲載を控えてもらうように、大映テレビさんが必死にお願いしていました」

 今だから話せるが‥‥と前置きして秋野は言う。殺人的スケジュールだった百恵に合わせ、深夜や早朝にロケが始まることも珍しくなかった。それでも若かったせいか、そこから2人で遊びに行くことも多かったという。

「芸能人しか入れないスナックが渋谷にありまして、勝新太郎さんや石原裕次郎さんがいつもいらしてた。そこに百恵ちゃんと2人で行くようになって、でも私たちは一番のペーペーだから、よく洗い場を手伝っていましたよ」

 秋野は大映ドラマに重宝され、三姉妹のバレリーナ役だった「赤い激突」(78年)や、堀ちえみ主演でヒットした「スチュワーデス物語」(83年)にも顔を見せている。VTRではなく、フィルムが主流だった時代の演技を学んだことは貴重な体験だった。

 秋野と同じようにシリーズで悪役が多かったのは、前田吟である。国民的な映画の「男はつらいよ」で知られる善良な役どころとは一変し、逃亡犯などの役をこなした。

「役柄も『寅さん』とは違うけど、芝居の仕方もまるで違う。大映ドラマでは、テンションを上げてセリフを言うから、そのまま『男はつらいよ』の撮影に入ると、山田洋次監督に『大きな声を出さなくても聞こえますよ』って注意されるから」

 赤いシリーズはTBSの金曜9時枠だが、もともとは松竹制作、田宮二郎主演の「白いシリーズ」の牙城だった。やがて「白」と「赤」が交互にオンエアされるが、前田は「白」のほうの出演が先だった。

「あれは大人のラブロマンスだし、何より松竹と大映テレビでは撮り方もムードも違う。正直に言うと『赤』は、殴り合い、つかみ合い、ののしり合いのドラマだったね」

 前田は「赤い運命」でシリーズに初登場し、百恵の引退記念作となった「赤い死線」(80年)にも出演。犯人役が多かったことで子供たちがイジメの対象となりかねない事態もあったが、それでも前田は感謝してやまない。

「フィルムで撮っている『テレビ映画』は、VTRのものより倍近くギャラがいい。これがあったおかげで4人の息子たちを育てられたと思っているよ」

 宇津井健が突然、バレエを踊り出すなど、シリーズきっての怪作とされる「赤い激突」には、やはり前田もふんどし一丁で踊る場面が出てくる。今にして思えば、あそこまで振り切った役をやれたことは自分の財産になったと言う。

カテゴリー: 芸能   タグ: , , ,   この投稿のパーマリンク

SPECIAL

アサ芸チョイス:

    なぜここまで差がついた!? V6・井ノ原快彦がTOKIO・国分太一に下剋上!

    33788

    昨年末のスポーツニュース番組「すぽると!」(フジテレビ系)降板に続いて、朝の情報番組「いっぷく!」(TBS系)も打ち切り決定となったTOKIOの国分太一。今月30日からは同枠で「白熱ライブ ビビット」の総合司会を務めることになり、心機一転再…

    カテゴリー: 芸能|タグ: , , , , |

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<寒暖差アレルギー>花粉症との違いは?自律神経の乱れが原因

    332686

    風邪でもないのに、くしゃみ、鼻水が出る‥‥それは花粉症ではなく「寒暖差アレルギー」かもしれない。これは約7度以上の気温差が刺激となって引き起こされるアレルギー症状。「アレルギー」の名は付くが、花粉やハウスダスト、食品など特定のアレルゲンが引…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , , , |

    医者のはなしがよくわかる“診察室のツボ”<花粉症>効果が出るのは1~2週間後 早めにステロイド点鼻薬を!

    332096

    花粉の季節が近づいてきた。今年のスギ・ヒノキ花粉の飛散量は全国的に要注意レベルとなることが予測されている。「花粉症」は、花粉の飛散が本格的に始まる前に対策を打ち、症状の緩和に努めることがポイントだ。というのも、薬の効果が出始めるまでには一定…

    カテゴリー: 社会|タグ: , , , , |

注目キーワード

人気記事

1
上原浩治の言う通りだった!「佐々木朗希メジャーではダメ」な大荒れ投球と降板後の態度
2
エスコンフィールドに「駐車場確保が無理すぎる」新たな問題発覚!試合以外のイベントでも恨み節
3
【高校野球】全国制覇直後に解任された習志野高校監督の「口の悪さ」/スポーツ界を揺るがせた「あの大問題発言」
4
これも「ラヴィット!」効果…TBS田村真子アナ「中日×巨人で始球式」に続く「次に登板するアナウンサー」
5
日本人に大打撃!タイ政府「外国人締め出し」で長期滞在とビザ取得が困難に…そして口座凍結まで