テリー 新垣さんにも、ある種の共犯部分がありますよね。その社会的な責任はいつぐらいになるとけじめがついたと言えると思いますか。俺は個人的には「もういい」と思っているんだけど。でも「お前も18年一緒だったんだから、共犯者だろう」という見方もありますよね。
神山 新垣さんも、苦しまれていると思いますよ。佐村河内さんがいない中で、今よりもいい曲を作らなきゃいけないわけですし。今、桐朋学園大学音楽部のOB・OG・同僚の有志が集まって、才能のある人間をこのまま裏方で終わらすのは惜しいと、「新垣隆コレクション」というコンサートをやることになっているんです。東京で6月、札幌で8月。350人ぐらいの規模で。
テリー そこでピアノを弾くんですか。
神山 はい。新垣さんがピアノを弾いて、新しい曲も作る。みっくんもヴァイオリンを弾く予定です。
テリー みっくんはどうですか。大人は「しょうがねえなあ、佐村河内、この野郎」みたいに、おもしろがれるところがあるじゃない。でも子供たちは、もっとピュアで傷つきやすいし、どうしてるのかなと思っていたんです。
神山 中学生になって、ヴァイオリンもどんどんうまくなっています。「ソナチネ」を弾くととてもいい状態ですよ。
テリー よかった。それはうれしいね。
神山 今、全てが解放されていますね。
テリー 今回の佐村河内さんの件は特別だったと思いますが、神山さんはドキュメンタリー作家としては、どのようにネタを見つけてるんですか。
神山 それはもう、今日だってネタがないかなと思っています。大きいネタと、来週何か書かなきゃいけないという小ネタと、いくつか持ってないと。
テリー 大きいネタだけだと食っていけないよね。
神山 ええ。例えば3年かかると思ったら、その3年間どうやってしのいでいこうかということで。大きいネタが入った時に、経済のベースも含めてやりきることができるような準備をふだんからする、そういうことが必要です。だから身過ぎ世過ぎもしなきゃいけないんですけどね。
テリー 自分の中に何か問題意識がないとネタもキャッチできないですよね。
神山 僕の場合、それは人間関係だと思っています。大久保家とも、1冊本を書き終わったからそれで終わりというのではなかった。そうすることで、今回のように「神山さん、困ったことが起きました」と相談される。そういうことだと思いますね。
テリー 今回の事件については、これからも追いかけていきますか?
神山 はい。佐村河内さんの「闇」というのを単行本にして、しっかりまとめなきゃいけない。今年の11月、12月にはしっかり読んでいただけるようにしたいと思います。
◆テリーからひと言
佐村河内と新垣さんの関係はこのままでは終わらないね。この2人の再度の対決を、また見られるようにしてくださいよ。