テリー 彼の人間性については、どう思いますか。
神山 どこまでが虚構で、どこからが現実かという線引きができていないと思います。子供たちに向かって「僕についてくればプロになれる」と、本当に思っているみたいですから。
テリー 彼は耳が聞こえるのに聞こえないフリをしてたわけですよね。
神山 怪しいと思ったことはありました。例えばコンサートに行った時、3分たつと鐘が鳴って演奏が終わる。一緒に聴いていたら「神山さん、3分たつとチーンって鐘が鳴りますね」と、彼は音まで表現したんですね。それから、みっくんが一緒に「笑点」を見ていた時、字幕が流れるよりも先に笑いだしたらしいんです(笑)。
テリー ハハハハ。
神山 みんな実はおかしいと思っていたんです。でも、それはなかなか言えませんよね。本人に否定されてしまえば、それまでだから。
テリー 体に関わることだし、なかなか言えないよね。彼は今でも、自分自身の著作権の主張をしているみたいですね。
神山 そうですね。
テリー ちまたでは、新垣さんと佐村河内さんの関係が、何か恋人に近いような特別なものだったんじゃないかとよく言われていますね。
神山 ええ、そのようですねぇ。
テリー 実際はどうなんですか?
神山 まあ、一部で好奇心を持って騒がれている、体の関係とかはまったく別にして、精神的に、新垣さんは佐村河内さんのことをかなり近しく思っていらっしゃいますよね。今でも「仲直りしたい」と言ってますから。
テリー えっ、そうなんだ。それはいったい、どういうお気持ちなんですかね?
神山 新垣さんが曲を作ると、彼は非常に喜んでくれるらしいんです。約18万枚売れた代表作の「交響曲第一番(HIROSHIMA)」は、100万円単位のお金を曲ができたその段階で払っているわけです。でもその「交響曲第一番」が世の中に出たのは、それから8年後なんです。
テリー へー、作品が売れるもっとずっと前に、完成していたんだ。
神山 だから長い間、1円にもならないものに対して佐村河内さんはすごく評価をして、大金を払っていると。新垣さんは、報酬よりも、自分が作った曲を彼が本当に評価してくれたことに恩義を感じている。
テリー ふーむ。
神山 私生活で彼と仲よくしようと思ったことはないらしいんです。でも音楽活動を通しては、佐村河内さんに対して共感を覚えている。「もしもこういう人がいなかったら、自分は今でもずっと部屋にこもって、地味な曲を作っているしかなかっただろう」と思っているみたいですね。
テリー ということは、新垣さんには共作という意識もあるぐらいですか。
神山 いえいえ、曲の指示書は、あくまでも「ここは激しく」とか「ここは大きく」とか、単純な日本語で書いてあるんですよ。そんなもので作曲になるのなら、僕でもできますよね(笑)。
テリー でも、刺激を受けたから書けたっていう面もあるでしょう。「新しい形の共作」なんて主張をしてくるかもしれない。
神山 そうですね。だからクラシック界も、この事件で今、非常にザワザワしていると思います。18万人が交響曲のCDを買って、さらに多くの人が曲を聴いて「感動した」と言っている作品ですから。ただ、共作者として佐村河内さんの名前が残ってしまったら、僕ら取材班は、何のために頑張ったのかわからない。みっくんがこれからも「ソナチネ」を弾きたいけど、ウソつきの作曲家の名前が残っちゃイヤだと言うので、新垣さんは「じゃあ僕が実名で全てを話します」と覚悟を決めて、あの発表会見をやったんですから。