両リーグとも最高年俸のエースがふがいない成績でチームはBクラス。「過去の栄光」は見る影もなくなっている。若手も含めて伸び悩むピッチャー陣に活を入れてもらおう。
セのワースト先発投手は巨人の菅野智之(33)。借金投手となった昨年(6勝7敗)よりは盛り返したものの、巨人のエースが10勝7敗ではBクラスも当然だろう。年俸は6億円(推定、以下同)=1勝あたり6000万円に相当する。元阪神エースの江本孟紀氏が、
「年俸に見合わずワーストも致し方なし。ピンチで武器のスライダーを投じて打たれている。どんな好投手でも年を取るほど過去の成績を維持できなくなる。ダルビッシュ(有=36)を見習ってほしい」
と語れば、元西武監督の伊原春樹氏も、
「体にガタがきているのかもしれない。野球人生の勝負どころでもあり、気持ちを入れ替えて頑張ってほしい」
とエールを送る。このままでは、来季の開幕投手を戸郷翔征(22)に奪われるかもしれない。
一方のパは、楽天の田中将大(33)。菅野を上回る年俸9億円の球界トップ投手は9勝12敗。1勝あたり1億円という体たらくだ。
開幕直後は5勝1敗で防御率もよかったが、シーズンを通じると4点以上の自責点ゲームが8試合と後半になるにつれ、精彩を欠いてきた。
この点について、伊原氏の分析はこうだ。
「若い頃の球速と同じでコーナーに丁寧に投げているけど、甘くなるとスコーンと打たれてしまう。昨年は4勝9敗でしたが、防御率は3.01。自責点4点以上は5試合で僅差負けが多かった」
江本氏はQS(クオリティ・スタート)率を落としていることを指摘。ちなみに昨季のQS数が17試合に対して、今季は14試合だ。
「いい時のピッチングをしようとするが、スライダーを狙い打たれている。ファンが好調時のような期待をするのは間違い。昔の状態をキープしていればアメリカにいますよ」
と一刀両断だ。田中と同じ甲子園優勝投手である元ロッテの愛甲猛氏は、
「年俸に見合わないのは確かだけど、9勝12敗ながら防御率3.31で試合は作れている。味方が点を取れないのも不振の要因だね」
と、マー君登板時の得点力不足を挙げる。
いずれにせよ、9億円の活躍ができなければ、パのWVP(ワースト・バリアブル・プレーヤー)とされてもしかたがないだろう。
チームの打撃力が弱い点は、田中と同じく最多敗戦(11敗)を喫した中日の柳裕也(28)にも共通する。
暗黒時代の阪神6年間で61勝69敗、リーグ最多敗戦も経験した江本氏は、
「最多敗戦は別の意味で投手の勲章です。途中降板なら負けもつかないからね。防御率(3.64)はよくないけどね」
パでは田中に次ぐ11敗を喫したロッテの小島和哉(26)は、昨季の防御率3.76(10勝4敗)に対して今季は3.14にアップ。「防御率は昨年より上昇しており、チーム打率2割3分はリーグ最下位。あまりに打てなさすぎるのが最大の要因です」
と、伊原氏も異口同音に最多敗戦をかばう。